スマホやネットは禁止!森の中でのびのび過ごす《ニュージーランド私立学校》の実態 在学中の"日本人高校生"にも話を聞いた

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そんなISNZ加盟校のひとつであるSt Paul’s Collegiate Schoolは、ニュージーランドで4番目に大きな都市、北島のハミルトン市にあります。中高一貫校でアカデミックな指導に加えて人間教育に力を入れています。

その象徴ともいえるのが、Year10(日本でいう高校1年生)対象の「Tihoi Venture School(ティホイ・ベンチャースクール)」です。

Tihoiでのアウトドア活動
Tihoiでのアウトドア活動(画像:St Paul’s Collegiate School提供)

このプログラムでは、生徒たちがオークランド南部の森の中にある施設におよそ18週間滞在し、自炊、清掃、森林作業、アウトドア活動などを通じて「協調性」「自立心」「リーダーシップ」「忍耐力」を育みます。

携帯電話やインターネットは禁止。娯楽もほとんどない環境で、学力では測れないまさに「生きる力」にフォーカスした教育が行われているのです。

校長のベン・スキーン氏は語ります。「多様な背景を持つ生徒たちが、仲間と共に自分らしさを見つけていく。それがSt Paul’sでの学びです。私たちは学力だけでなく、生き方そのものを育てる教育を提供しています」。

スマホなしで過ごした“日本人男子生徒”の率直な感想

Tihoiプログラムを実際に体験した日本人男子生徒(R.Sさん)とその母親にも話を聞きました。彼女は、息子がTihoiで過ごした半年間が「人生を変えるほどの経験だった」と強調します。

「うちの子はもともと内向的で、自分にあまり自信が持てないタイプでした。でもTihoiで毎日キャンプや調理、清掃などの生活スキルを仲間と協力しながら行うことで、責任感と自主性が芽生えたように思います。半年経って帰ってきたときには、顔つきが変わっていました。何より、自分から『あの経験が本当に必要だった』と話してくれたことが、親として何よりも嬉しかったですね」

学生本人は英語で次のように話してくれました。「最初は正直なところ、不安も大きかったです。スマホも使えないし、誰かと24時間一緒にいるって想像できませんでした。でも2カ月くらい経った頃から、自分の中で何かが変わってきて、自然の中で過ごす時間や、仲間と本音で話す時間が、すごく心地よくなったんです。あそこでの経験がなかったら、今の自分はなかったと思います」。

自信に満ちた表情で生き生きと話してくれる姿が印象に残りました。

ニュージーランドの教育は「評価」よりも「経験」に重きを置いています。試験の点数や偏差値ではなく、日々の行動、取り組み、仲間との関係性、課題解決力などが重視されるのです。

これは、従来の日本の教育とは大きく異なる視点といえます。

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