東京商工リサーチによれば、タピオカ専業および関連事業を営む企業は、2019年9月の60から、2020年3月の112までに急増(約390万社を対象)。増加した52社のうち、半数近い24社は新規法人だった。たとえ専門的なノウハウを持ち合わせていなくとも、タピオカの一本釣りで展開すれば、商材の幅を抑えられ、少ない坪数で展開できるため参入もしやすい。
こうしてブーム過渡期においては、新旧タピオカブランドが交じる様相となった。
一方で、大半の来店客からしたら、ブランドの歴史や変遷には目が行きづらい。とりわけブームを支えた若年層が、映えやトレンドを重視していたと考えれば、日常使いするブランドがブーム以前から存在するかなど瑣末な点に過ぎない。
そもそもタピオカをウリにしていない
ゴンチャが感じていた「新興ブランドと一緒くたにされてしまう」煽りとは、このようにして形成されていく。それだけ一時の流行は実態が掴みづらいとも言えるが、地道に展開してきたゴンチャにとっては振り回される側面もあった。
「もちろん収益や認知度の面からも、ブームによる恩恵は多大にありましたが、それゆえに『タピオカといえばゴンチャ』と認知されたのは想定外でした。ゴンチャ以前から展開しているブランドはあったものの、ブーム時から当社が一番規模が大きかったため、世間的にはそう認識されていきました。
一見、良いことのように思えますが、困ったのはブームが収束したときです。タピオカの最大手として映っていたことで、店舗展開を続けていたにもかかわらず、『ゴンチャ=オワコン』というネガティブな誤認をされることも。
当時はお店で並んでいると、隣を通り過ぎる若者に『いまさらゴンチャに並んでるよ』と冷笑されることもあって悲しかったですね……。そもそもタピオカをウリにしているブランドではないのですが」
ブームの恩恵と功罪を受けながらも、タピオカブームは急速に萎んでいく。店舗が飽和したことによる希少性の希薄化や、SNS映えの飽き、コロナ禍による外出制限が重なり、瞬く間にブームは収束していく。タピオカブームも、典型的なトレンドの流行り廃りのサイクルに漏れず影を潜めていった。



















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