東芝を巻き込む、ストレージ業界再編の荒波 2兆円の巨額買収に各社の思惑がくすぶる
また東芝とウェスタンデジタルの関係も決して浅くない。東芝は2012年5月に、ウェスタンデジタルから3.5型ハードディスク装置の製造設備などを取得。一方で、ウェスタンデジタルは東芝のグループ会社である東芝ストレージデバイス・タイの株式を取得したこともある。
そのため、ウェスタンデジタルが事業を拡大すれば、サンディスクだけでなく、東芝からもSSDの供給を受ける可能性が高く、販売拡大が見込まれる。
東芝にとってHDDを売却するチャンス到来
ストレージ業界に詳しいアナリストの堀内義章氏も、「今回の買収は東芝も合意の上。東芝とサンディスクのフラッシュメモリの販路を広げるために、メリットがあると判断したのではないか」との見方を示す。
両社がストレージ分野の関係を深めれば、一段踏み込んだ再編も現実味を帯びてくる。東芝はHDDやSSDなどが入るストレージ事業で、今第2四半期に赤字を計上している。
不適切会計に揺れる東芝にとって、抜本的な構造改革を進める今だからこそ、HDDを切り離し、収益柱であるフラッシュメモリに経営資源を集中させるという判断も否定できない。
事実、10月28日に、CMOSイメージセンサーをソニーに売却、白色LEDからは撤退することを発表しており、長年に渡り温存してきた赤字事業の整理にようやく乗り出している。
とはいえ、今回の買収は良いことばかりではない。9月には中国の半導体大手、紫光集団はウェスタンデジタルに15%出資することを発表している。
役員を送り込むことも想定され、ウェスタンデジタルを通じて、東芝とサンディスクが築き上げたフラッシュメモリの技術が流出する恐れもある。
米国企業同士の買収だが、フラッシュメモリを巡る攻防も水面下で起きており、関係各社の思惑は膨らむ。海の向こうの大型再編に、東芝は難しい決断を迫られている。
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