東芝、白モノ家電で中国企業と組む意味 お荷物の家電事業を止血できるか

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白モノ家電を再建するため、中国スカイワースと製販両面で提携した東芝(写真は本社)

「白モノ家電、PC、映像について、国内撤退の判断の可能性はある」――。

不適切会計問題で揺れた東芝。9月14日に遅ればせながら2016年3月期第1四半期決算を発表、その席で室町正志社長が踏み込んだ発言をしてから、わずか10日後のことである。国内撤退に至る道筋なのか、東芝は、赤字の続く白モノ家電に、ようやくメスを入れる決断をした。

東芝の子会社で家電の製造販売を行う東芝ライフスタイルは、9月24日、中国国内での白モノ家電(冷蔵庫・洗濯機・掃除機)の販売権を、中国家電大手のスカイワース社に10月から付与することを発表した。同時に中国国内にある東芝ライフスタイルの販売子会社2社を清算する。東芝にとって、直近の中国での家電販売は赤字であり(数字非公表)、スカイワースの販売網などを活用し立て直しを図るのが、提携の目的だ。

さらに、東芝ライフスタイルが中国の南海と深センに持つ、白モノ家電生産子会社2社に対し、スカイワースがそれぞれ5%ずつを出資する。この2社は日本向けの生産が大半を占めており、調達やローコストオペレーションのノウハウを取入れることによって、日本向け製品の競争力を高める方針である。

円安で海外生産移転が裏目に

東芝の白モノ家電など家庭電器は、2013年3月期こそ営業利益18億円だったが、2014年3月期に採算が悪化。2015年3月期は減損損失などの特殊要因を除いても約90億円の赤字だった。直近の2016年3月期第1四半期(4~6月)も約50億円の赤字だ。

赤字が膨らんだ背景には、急激な円安の影響がある。東芝は、2000年代の初めに生産拠点を海外へ移していった。例えば2007年2月には、大阪工場で生産していた国内向け冷蔵庫を、中国・南海に移管すると公表。その後、大阪工場は閉鎖。2009年4月には、愛知工場で生産していたドラム式洗濯機を中国・南海工場に移すなど、海外移転を進めてきた。

現在、白モノ家電の7割~8割が、日本向けだ。アイロンやオーブンなど、一部製品を新潟などで生産しているものの、冷蔵庫や洗濯機は100%を海外生産に依存している。が、近年の想定を上回る円安によって、輸入採算が急悪化しており、コスト面で厳しい状況が続いていた。

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