ノルウェーでは「ありえない」スルメイカ休漁騒動で露呈した日本漁業のずさんすぎる"資源管理の実態"
ところで、「休漁」という報道なのに、なぜ少ないながらもお店で鮮魚のスルメイカが売っているのを見かけることがあるのでしょうか。それは漁獲枠の配分に理由があります。漁獲枠を使い切っていない他の漁業は、小型イカ釣り漁船が休業している間も操業を続けられるのです。
水産庁は「国際的に見て遜色がない資源管理システムの導入」を目指しており、方向性はまさにそのとおりです。ところが、正しい情報の発信や教育の不足により、科学的根拠に基づく資源管理の本質が正しく理解されてきませんでした。このため漁業関係者との間で、不要な摩擦が起きてしまい中々前に進んでいません。
「早い者勝ちの争奪戦」となっていた
今回のスルメイカの漁獲枠に関して、なぜ小型イカ釣り船が目の前にいるのに獲れない問題が起きたのか。経緯を整理します。
もともと全体では獲り切れないほど大きな枠が、「沖合底曳き網」、「大中巻き網」、「大中イカ釣り」、「小型イカ釣り」に配分されていました。2024年の漁獲枠が7万9200トンで、同年の漁獲実績は1万7998トンにすぎませんでした。資源状態の悪化を受けて2025年の漁獲枠は1万9200トンへ大幅に削減。しかしそれでも前年の漁獲量を超える配分です。
ところが漁模様が良く、沖合底曳き網の漁獲枠に漁獲量が迫りました。本来であればそこで漁業を止めることで枠が初めて機能します。ところがあろうことか漁業者団体の要望で漁獲枠を6600トン(+34%)も増やしてしまいました。ゴールポストを動かしてしまったのです。さらに小型イカ釣り船の増枠要望後に1800トン増枠され、トータルで2万7600トン(当初比+43%)増えてしまいました。
しかしながら、枠が増えてもすでに小型イカ船はその分を漁獲してしまっており、来年3月まで休漁となってしまい怒りが爆発しています。そもそも枠を超えていること自体が問題なのですが、その話題は出てきません。



















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