《ミドルのための実践的戦略思考》伊丹敬之の『経営戦略の論理』で読み解く化粧品・健康食品メーカーの・経理担当課長・小泉の悩み

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それでは目的とは何か。それは、「どのような戦い方を目指していくのか」といういわば戦略の基本概念になります。例えば圧倒的な低コストで勝とうとするのか、それとも製品価値を徹底的に高めた勝負をしようとするのか、製品に差別化要素がなくても、売り方やサービスなど製品以外の要素のクオリティで勝負しようとするのか。

ビジネスシステムを考えるにあたっては、いきなり「どの機能が必要で、どれが不要」という各論に入るのではなく、そもそも戦い方について合意が得られているのか、そしてその戦い方に対してビジネスシステムの各構成要素がきちんと整合しているのか、と順序だてて見極めていく必要があります。言ってしまえば非常に初歩的なことであり、それがゆえにチェックポイントの1番目にあがっているのですが、この観点が欠けたまま議論がスタートすることは意外に多いものです。

2点目の「効率性」は、ビジネスシステムのムダを洗い出す観点です。ムダをなくすアプローチは具体的に2つあります。

1つは、ビジネスシステムの各構成要素一つひとつにおいてムダが省かれている、ということです。例えば、調達先を一元化することにより原材料の調達費用を安くする、とか、生産についてはコスト効率が最も高い中国の企業にアウトソースする、とかいうような事例が該当します。

もう1つは、ビジネスシステムの要素間で統合、整合が取れていることにより、ムダが省かれている、ということです。例えば、生産は確かに中国に出した方が安いのであるが、研究開発から設計、生産までを敢えて同じ拠点内で行うことによって情報の流通を高め、より品質の高い商品を歩留まり高く生産することでトータルとしてのコスト効率を高める、というような事例が該当します。

前者の「個々の構成要素のムダを省く」というのは影響範囲が限定的なので、それほど難しくはありません。しかし、後者の「トータルとしてムダを省く」ということは、まさにビジネスシステム全体の設計にかかわることであるため、全社的な視点に立った力技の変革が必要になります。本書には該当事例としてアスクルやミスミのアプローチが紹介されていますが、この両社のようにシステムをうまく設計できればそれだけで圧倒的な競争優位が実現できる可能性は高まります。

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