高市・自民党が直面する「6度目の党存亡の危機」 結党70年を迎えた自民党が生き延びる「3つの道」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

結局、結党70年で大転換期に直面した自民党は、ほかの多くの党と同じく、「普通の政党」として存続するしか方法がないのかもしれない。その局面で、党首として登場した高市首相は自民党の将来像をどう描き、どんなシナリオと処方箋を用意して、これからの自民党を主導していく考えなのか。就任1カ月余の現在は、暗中模索の印象である。

長期政権を築いた4首相の共通点

自民党の70年を10年ごとに区切って、その軌跡をたどってみた。結党10年の1965年の総裁は佐藤栄作首相、20年目の1975年は田中元首相の次の三木武夫首相、30年目の1985年は中曽根康弘首相、40年目の1995年は野党の河野総裁、50年目の2005年は小泉純一郎首相、60年目の2015年は安倍晋三首相だった。

前述の6回の危機のうち、田中首相の辞任と逮捕という2回目の1974~76年のケースにぶつかった三木氏と、3回目の93年の「初の野党転落」で総裁となった河野氏の2人を除いて、それ以外の佐藤、中曽根、小泉、安倍の4氏は、自民党結党後の70年で長期在任記録を残したトップ4の元首相である。歴史の偶然かもしれないが、ただの巡り合わせとは言い切れない面もある。4首相には共通点があるからだ。

この4人は、共に首相到達前に自民党が当面した大きな困難を乗り越えた後に政権を手にした。それなりに「当時の自民党の新しい姿と形」に挑戦する姿勢を示すことによって長期政権を築いた。70年目に党を背負った高市首相は、4首相と同じように、「自民党の新しい姿と形」に果敢に挑んで長期政権を手にするのか。

一方、自民党内の少数勢力ながら党首となった三木元首相と河野元総裁は、共に党内の権力闘争に敗れ、三木氏は早期退陣、河野氏は首相の座に手が届かずに終わった。高市首相が後者の2氏のような「不本意な末路」をたどらないという保証はない。

塩田 潮 ノンフィクション作家、ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

しおた うしお / Ushio Shiota

1946年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
第1作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師―代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤』『岸信介』『金融崩壊―昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『安倍晋三の力量』『危機の政権』『新版 民主党の研究』『憲法政戦』『権力の握り方』『復活!自民党の謎』『東京は燃えたか―東京オリンピックと黄金の1960年代』『内閣総理大臣の日本経済』など多数。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事