高市・自民党が直面する「6度目の党存亡の危機」 結党70年を迎えた自民党が生き延びる「3つの道」
その立場に立って、自民党の中で長く「生命線」と受け止められてきた点がある。何よりも「保守・法の支配・市場経済・反共・天皇制」などの大枠で一致する層を広く取り込む「包括政党」という党の本質だ。そのために「党分裂の絶対回避」という考え方が最重視されてきた。
もう一つ、「権力を接着剤に結集・団結・統一を維持」という経験上の知恵に基づく「何が何でも与党」という党の体質と構造が根を下ろしている。24年以降の6回目の危機でも、25年9月に石破首相が「在任2度目の衆議院解散・総選挙」をほのめかしたとき、親石破陣営の中からも「党分裂回避」の声が噴出し、最終的に石破首相退陣の決定打となった感があった。
自民党が生き延びる「3つのカード」
高市内閣は、今は高支持率だが、足元の与党は、連立に参加した日本維新の会との合算でも、衆参両院とも過半数にわずかに及ばないという不安定状態だ。高市自民党は、脆弱な政権基盤を脱して長期安定政権の復活を目指すのが至上命題である。であれば、「初の女性首相」の高人気を武器に「いきなり解散・総選挙」で一発勝負に出る戦法も、考えられないわけではない。
それでも「初の女性首相」という看板だけでは、自民党の「解党的出直し」による党再生は容易ではなく、ただの「表紙の取り替え」に終わる危険性が大きい。そうならずに、自民党が生き延びるには、現状で考えられる方向は以下の3つのカードのどれかだろう。
第1は「保守合同」以来の「保守・右寄り」の伝統的な自民党の理念と路線を最優先で追求する「純化路線」である。第2は「夢をもう一度」で「保守・右寄り」から「中道・リベラル」まで取り込む「現代版・包括政党」も有力候補だ。第3は「少数政党並存政治」という現実を直視して多党制の下での比較多数の確保と他党との連携を主眼とする「普通の政党」という選択肢がある。
第1の「純化路線」は、運動体としての政党という意味では一つの生き方だが、「半永久的少数政党」というリスクと背中合わせである。第2の「現代版・包括政党」は、実は民意の壁が高い。現代は国民の価値観の多様化が著しいが、民意がこれからも「包括政党」を支持するかどうかだ。ただし、一つだけ、国内の政治状況の激変、あるいは日本周辺の国際情勢などで、現在の「少数政党並存政治」にとって共通の「大きな敵」が台頭したときは、「救国型包括政党」が一気に浮上する場面も想定される。



















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