好調ANAがそれでも上方修正を見送る理由 中国人の"訪日熱"で上期の利益は過去最高
「ここまでインバウンド需要が伸びるとは予想していなかった」。日本航空(JAL)の植木義晴社長がこう驚くほど、訪日外国人の数はうなぎ上りだ。
日本政府観光局(JNTO)によれば、今年1~9月の訪日外国人旅行者数は前年同期比48.8%増の1448万人に到達。10月初旬には1500万人を突破した。この“訪日熱”の高まりが追い風となり、国内航空大手のANAホールディングス(HD)とJALはともに、上半期としては過去最高の営業利益をたたき出した。
2015年度上半期(4~9月期)決算で、ANAHDは前年同期比49.8%増の867億円、JALは同29.2%増の1199億円と、いずれも期初時点の計画を上回った。原油価格の下落によって燃油費が抑えられたこともプラスに働いた。
ANAが運んだ訪日中国人は8割増
訪日需要の中でも顕著なのが中国人だ。今年1~9月の訪日中国人数は前年同期の2倍以上となる383万人と、爆発的な伸びをみせている。
ANAHD傘下の全日本空輸(ANA)の国際線旅客数は前年同期と比べ13.1%の伸びだったが、中国からの訪日旅客数(日本を目的地とする現地での発券数)は81%も増えた。JALも全体の国際線旅客数は同5.1%増だったところ、中国からの訪日客数は同30%増と大きく上回った。訪日中国人の増え方が、いかにすさまじいかがわかる。
しかし、今後の見通しについては、両社で見方が大きく異なる。JALは「訪日需要が好調に推移していることを主たる要因」として、期初時点では1720億円(前期比4.3%減)としていた2015年度通期の営業利益予想を、2040億円(同13.5%増)に上方修正。一転して過去最高を更新する見込みとなった。
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