スカイマーク会長が退任直前に語った真実 井手会長に聞く、スカイ17年の軌跡<前編>
就任してみたら資金は底をつく寸前
井手氏がスカイマークとの最初にかかわりを持ったのは、前職のブリティッシュ・エアウェイズにまだ在籍していた時。1997年の年末に、当時会長を務めていた澤田秀雄氏(現エイチ・アイ・エス会長)から「アドバイスをくれないか」と打診を受け、顧問に就いた。
「当初スカイマークは1998年の春に就航予定だったが、それが6月、8月と後ろにずれていった。体制作りにかなり苦労されていたので、アドバイスをくれないかと打診をもらった。事業計画を拝見し、規定作りなどで助言をしていた」
最終的には、翌1998年の就航後に社長に就任した。入社当初は驚きの連続だったという。
「一番驚いたのは財務体質。事前に聞いていた内容とはずいぶんと違っていた。まず、基本的な財務諸表が作られていない。就航までの2年の準備期間をよくやっていたなと思った。澤田さんからは『50億円はある』と聞いていたが、バランスシートや損益計算書を作ってみると、資金は底をつく寸前だった。
だから、最初に着手したのが増資だった。正直なところ、社長業をやっていたという感覚はあまりない。むしろ“個人事業主”のような感覚。在任期間中は資金の手当てばかりに動いていた」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら