スカイマーク会長が退任直前に語った真実

井手会長に聞く、スカイ17年の軌跡<前編>

9月29日に会長を退任する井手氏。その胸中に去来するものとは(撮影:大澤誠)
「スカイマークの独立性と雇用の維持という“ストライクゾーン”はきっちり守れた。今は率直に、すがすがしい気持ちだ」
9月29日に取締役を一新し、新しい経営体制へと移行するスカイマーク。社長就任から約17年間、同社の舵取りを担ってきた井手隆司会長は同日をもって退任する。今年1月の経営破綻以降、スカイマークの民事再生は混迷を極めた。新たなスタートを前に、井手会長はまず冒頭の言葉を口にした。
「日本の航空会社で私ほど長く経営に携わっていた人は、ほかにいないだろう」と言う井手会長に、これまでのスカイマーク、そして航空業界の変遷を聞いた。

就任してみたら資金は底をつく寸前

井手氏がスカイマークとの最初にかかわりを持ったのは、前職のブリティッシュ・エアウェイズにまだ在籍していた時。1997年の年末に、当時会長を務めていた澤田秀雄氏(現エイチ・アイ・エス会長)から「アドバイスをくれないか」と打診を受け、顧問に就いた。

「当初スカイマークは1998年の春に就航予定だったが、それが6月、8月と後ろにずれていった。体制作りにかなり苦労されていたので、アドバイスをくれないかと打診をもらった。事業計画を拝見し、規定作りなどで助言をしていた」

最終的には、翌1998年の就航後に社長に就任した。入社当初は驚きの連続だったという。

「一番驚いたのは財務体質。事前に聞いていた内容とはずいぶんと違っていた。まず、基本的な財務諸表が作られていない。就航までの2年の準備期間をよくやっていたなと思った。澤田さんからは『50億円はある』と聞いていたが、バランスシートや損益計算書を作ってみると、資金は底をつく寸前だった。

だから、最初に着手したのが増資だった。正直なところ、社長業をやっていたという感覚はあまりない。むしろ“個人事業主”のような感覚。在任期間中は資金の手当てばかりに動いていた」

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