アドビが《生成AI》をクリエイターの"パートナー"と位置づける背景。「Adobe MAX 2025」で示した"新しいクリエイティブの枠組み"とは?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

Adobe MAX 2025の発表をまとめると、1つは「AIがクリエイターの仕事を奪う」という不安への明確な回答がある。

アドビが描く未来は、AIが煩雑な作業を代行することで、クリエイターがより本質的な創造的思考に時間を費やせるようになる世界であり、クリエイターの創造性を搾取し、その才能をユーザーに分配することではない。

一方でAIがクリエイティブへの参入障壁を取り除くこともたしかだ。また企業内のさまざまな現場で、部署内で自主的なクリエイティブ制作の道をAIは確実に手助けしてくれる。専門的な知識やスキルがなくても、自分のアイデアを形にできるようになっているからだ。

一方、プロフェッショナルにとって、AIは究極の精度とスピードで成果を出すための知的インフラとなる。ワークフローの中にAIを不可欠な要素として組み込み、自動化と手動制御を自在に行き来しながら、これまで不可能だった表現を実現できる。

AIはいくつかの成果物の選択肢を提示し、一部の作業を代行し、次のステップを提案するかもしれない。しかし、決して主導権を奪うことはない。

創造性の定義が変わる時代へ

「クリエイティビティ」とは何か。

その定義自体が、AI時代において変化しつつあるのかもしれない。アナログ、デジタルいずれの場合も、より良い創作物を生み出すには技術的なスキルの習得に膨大な時間を費やす必要があった。

しかし、AI時代には何を表現したいか、どんなメッセージを伝えたいか、どんな感情を喚起したいか。そうした本質的な創造的思考こそが求められる能力になっていく。

Adobe MAX 2025での一連の発表は、その転換点を示した発表だったと言えるだろう。AIは道具ではなく、対話の相手であり、知的なチームメイトである。しかし、新しいクリエイティブを生み出すものではない。

クリエイターは、この新しいパートナーとどう協働していくべきなのか。アドビはその時代におけるクリエイティブジャンルにおけるプラットフォーマーとして名乗りを上げた。

本田 雅一 ITジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事