アドビが《生成AI》をクリエイターの"パートナー"と位置づける背景。「Adobe MAX 2025」で示した"新しいクリエイティブの枠組み"とは?
クリエイターが目標、たとえばInstagramで特定のユーザー層向けのリーチを増やしたい、といった要望を伝えるだけで、複数のアプリに散在するAI機能を連携させ、コンテンツを具現化していく。
単なる「アシスタント」というよりも、創造活動全体を俯瞰しながらクリエイターを導く「プロデューサー」の役割に近い、極めて野心的な取り組みだ。
権利保護のための“野心的な取り組み”も
Project Graphは、さらに少し未来を見据えたエージェント型AIだ。
少々複雑で野心的な取り組みだが、クリエイターの権利保護や、業界全体のエコシステムを成長させるアドビの戦略において欠かせない要素だ。
PhotoshopやIllustratorなど、Creative Cloudのあらゆるツール群をAPIノード(部分的な機能を部品として呼び出すモジュール)として扱い、ビジュアルなプログラミング環境でクリエイティブを生み出すワークフローを構築できるプラットフォームである。
作成したワークフロー(カプセルと名付けられている)は、他のクリエイターと共有したり、リミックスしたりできる。
さらにカプセルをPhotoshop内で直接呼び出し、作業を自動化しつつ、出力結果を手動で調整できる。つまり、「完全な自動化」と「手動での精密なコントロール」の境界線を、クリエイター自身が自由に設定できるわけだ。
カプセルはグループで共有したり、誰かに提供したりすることもできる。クリエイティブな自動化そのものを、コミュニティ主導で進化させていくエコシステムの基盤となるだろう。
優れたカプセルが共有されることで、別の誰かがそれを改良する、といった連鎖が起きれば、業界全体でワークフローが底上げされ、クリエイターはより創造的な、新しい価値を生み出すために時間を使えるようになる。
もっとも、このプロジェクトの価値はそれだけにとどまらない。アドビが参加し、実質的に開発のリードを行っているContent Authenticity Initiative(CAI)を通じ、どんなカプセルのワークフローで、誰がどのようにしてその成果物を生み出したのか、克明に記録されることで、AI時代にも“誰が、どのように”作り出したものかを担保できる。


















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