BossB:おっしゃるとおり数学は便利なものですが、なぜここまで使える道具であるのか、実のところ、私たちにもわからないんです。人間が考えた数字や記号、抽象的な構造によって、宇宙をここまで正確に記述できてしまうのはなぜなのか、それが不思議でしょうがないぐらい。
窪田:私もそう思っていました! 方程式は人間が理論で作ったものですが、宇宙を観測していると、その方程式を当てはめることができる現象が実際に起きているなんて。
まるで宇宙が壮大な実験室であるような、我々に方程式の答えを見せてくれるような印象で、なぜそんなものが都合よくあるのか不思議だと思っていたのですが……物理学者の方から見てもそうなのですか?
BossB:どんなに頭のいい人たちから見ても、これはものすごく不思議なことです。
「なぜ生きているのか?」から宇宙の道へ
窪田:数学はそこまで奥が深いものなんですね。ファラデーの法則もそうですが、ある数式が正しければ、その発見から何百年も経った未来の新発見にさえ、整合性を持って対処できるツールであるということは、本当に驚異的だなと思います。
BossB:しかも、数学は結局のところイデアや抽象の世界ですよね。例えば円だって完璧なものは実際には存在しないのに、私たちはそれを頭の中で作って、数式で表すことができてしまう。
そんなことを、数千年前のギリシャ人たちがすでにやっていたんです。数学という完璧な抽象概念を用いて、完璧ではないこの現実を説明してきたというのが、改めてすごいことだと感じています。
窪田:そもそも、BossBさんがこの分野を学ぼうと考えたのはなぜですか?
BossB:私が宇宙のことを知りたいと思ったのは、高校時代に将来の進路を考えたときでした。学校にもあまり熱心に行っていなかったし、受験のための勉強もクソおもしろくなくて(笑)。
そんなことより、私は「なぜ自分は生きているんだろう」とか「私が生きる意味は何なんだろう」とか、そんなことを知りたいと考えていました。哲学にも興味があったけれど、自分の知りたいことへの近道は、物理的に宇宙を学ぶことかなと思ったんです。


















