高度な数学の知識がなくても、宇宙について知ることはできる--「お星様と私たちはまったく同じ要素でできている」

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窪田:数学を使う必然性というのは確かにありますね。ただ、生物や化学ではせいぜい代数を使うぐらいで事足りるのですが、物理となるとそうもいかないのではないでしょうか。

BossB:最低限ならそれぐらいのレベルでいいと思いますし、数学を大きなハードルだと感じる必要はありません。例えば天文学の分野には、数学で宇宙を説明しようと試みる「理論屋さん」もいれば、観測データを元に、どの物理理論で現象を説明できるかを探る「観測屋さん」もいます。

一般に、データ分析に高度な数学はいらないことが多いです。つまり何を研究対象に選ぶかによって、どれだけ複雑な数学が必要になるかも変わってくるということです。

ファラデーは数学が得意ではなかった

また、電磁気の分野に多大な貢献をしたイギリスの科学者であるマイケル・ファラデーは、小学校も途中までしか通えず、大学に進学していないので数学は得意ではありませんでした。

でも、磁石と鉄粉を使った実験で磁場を「見える形」にしました。さらに磁場が変化すると電気が生まれるという「ファラデー(電磁誘導)の法則」を発見します。彼は、数学という抽象ではなく、見えない力の線を想像し、「場」という抽象を生み出し、世界を説明しようとした、それもまた、物理の大切な手法なんです。

窪田:その法則については学校でも習いましたが、ファラデーってそんな苦労人だったのですね。

BossB:そうなんです。ただ、もうちょっと踏み込んでいくと、やっぱり数学も必要になってきます。ファラデーが見つけた法則をのちに数式化したのは、物理学者のジェームス・クラーク・マクスウェルでした。

彼の作業には微分積分が使われました。この方程式によって「電場」と「磁場」が一つの現象――「電磁場」として統一され、研究がさらに進んだという歴史があります。天文物理学でも、さまざまな方程式のおかげで、見えない宇宙をより理解できるようになります。

窪田:やはり数学が使いこなせるとできることも広がりますね。できる人からしてみれば、ものすごく使い勝手のいい便利な道具なんだろうなと想像しています。

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