「顧客のところに300回行け」がビジネスに必須の深い訳【専門家が解説】

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30回や50回という数も「けっこう大変なたくさんの回数」なのに、なぜ30回や50回では足りず、300回という回数が新規事業の立ち上げには必要なのでしょうか。

それは、新規事業が「新規」事業であるがゆえに、立ち上げるチームがその領域について「まったく何の知見もない」という状況から始まることが少なくなく、そのため、どうしても300回くらいの情報量の積み上げが必要になってくるからなのです。

顧客現場の情報を300回分重ねないと出来上がらないことをイメージしていただくために、典型的な状態遷移を以下に示します。

まったく何の知見も持たなかった新規事業チームが、確かに立ち上がる新規事業案をつくり出すまでには、どういうプロセスを経るものなのでしょうか。

”門外漢”が介護業界で新規事業を立ち上げるとすると…

たとえば、不動産企業の新規事業プログラムに応募することにした、介護業界の「不」をテーマに新規事業を立ち上げようと結成されたチームがあったとします。

そのチームは、普段は不動産の仕事をしているため、介護業界にはまったく何の知見もなく、構成メンバーのひとりが実父の介護に苦しんだ経験からテーマを選んだ。そんな原体験があったからとします。

まず手始めに、「介護業界」という広大な世界に登場する構成メンバーを想像し、最初に誰を訪問するかを決めます。

「介護施設の経営者なのか」「介護施設スタッフなのか」「入居者なのか」「家族なのか」「行政職員なのか」など、「関係者の星座を描く」ことで、訪問する先にあたりをつけていきます。

「まずは介護施設のスタッフの話を聞いてみよう」と決めたら、アポイントをとって話を聞きに行きます。

これが、壮大な300回プロセスにおける記念すべき1回目です。

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