「顧客のところに300回行け」がビジネスに必須の深い訳【専門家が解説】

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仮説検証の掟は「300 is 300」。すなわち、顧客のところに行く回数は「300回と言ったら、300回である」という「回数の重要性」です。

300回は「マジックナンバー」で「臨界点」でもある

「顧客のところに300回行け」という標語は、広く新規事業の現場に広まってきています。

そのおかげで、かつての時代に見られた「会議室でデスクトップリサーチばかりしてホワイトボードを相手に新規事業の検討をしている」というチームの姿はすっかり影を潜めました。

顧客現場に実際に足を運び、直接顧客と対話することの重要性はかなり浸透したという実感があります。

しかし、300回という回数については、そこまで普及したようには見えません。

じつは、前作を上梓後、何度となく遭遇したのは、こんな会話です。

「麻生さん、『新規事業の実践論』を読んで、顧客のところに行きまくっているんです。でも新規事業ができる気がしないんです」

「そうなんですか。ちなみに、何回くらい顧客のところに行きましたか?」

「いま50回です」

「……」

「300回」という数字は、大量の実践経験から紡ぎ出された「マジックナンバー」であり、「その回数を超えると何かが起きる」という閾値、いわば「臨界点」に相当する数です。

きちんとした意味を持って解説した数字なのですが、残念なことに、多くの読者の方の頭の中では、「顧客のところに300回行かないといけない」というメッセージが、そのあと頭の中で「つまり、顧客のところにたくさん行かなければいけないということだ」と変わり「顧客のところにたくさん行くということは、50回くらい行くということだ」となり「たくさん、50回も顧客のところに行ったのに新規事業ができない」と脳内変換がなされてしまっているように見えます。

改めて、きちんと解説をしたいと思います。

「顧客のところに300回行けば新規事業ができる」とは、あくまで「300回行く」ということであり、「それ以下ではない」ということを強く強調してお伝えしたいと思います。

それは、なぜなのでしょうか?

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