真珠湾からバグダッドへ ラムズフェルド回想録 ドナルド・ラムズフェルド著/江口泰子、月沢李歌子、島田楓子訳 ~一代記で知る米国政治の内幕

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真珠湾からバグダッドへ ラムズフェルド回想録 ドナルド・ラムズフェルド著/江口泰子、月沢李歌子、島田楓子訳 ~一代記で知る米国政治の内幕

評者 中岡 望 東洋英和女学院大学教授

米国の政府要人は退任すると回顧録を残す。近年の大統領の回顧録では、ドナルド・レーガンの『わがアメリカンドリーム』、ビル・クリントンの『マイライフ』、ジョージ・W・ブッシュの『決断のとき』がある。

ブッシュ前政権の閣僚たちも回顧録を出版している。古いところでは2004年に出版されたポール・オニール元財務長官の『The Price of Loyalty』があるが、このところ回顧録の出版が相次ぐ。ヘンリー・ポールソン前財務長官の『ポールソン回顧録』、まだ邦訳は出ていないディック・チェイニー前副大統領の『In My Time』、コンドリーザ・ライス前国務長官の『No Higher Honor』がある。本欄で取り上げるドナルド・ラムズフェルド前国防長官の『真珠湾からバグダッドへ』も、そうした一冊である。

こうした回顧録に出版社は巨額の印税を支払っており、著者たちにとっても回顧録執筆は大きな魅力なのであろう。同時に、政治的な決断を行ってきた閣僚たちが歴史的な資料を残すという大きな意味もある。そうした責任感も、回顧録執筆の大きな動機であろう。それは同時に、歴史家にとってだけでなく、国民にとっても政治を判断する有力な資料となる。

ただ、こうした回顧録は往々にして著者の自己弁明に終始する場合が多い。ただ、中にはリーマンショックの内幕を明らかにしたポールソン前財務長官の回顧録のように、優れた記録になっているものもある。

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