もうひとつ注目すべきは、ラーメンが“おもてなしの料理”である点だ。山形では昔から、来客があると出前でラーメンを取ってもてなす風習がある。家庭料理ではなく、街の味で客を迎える──それが山形の食文化を象徴している。
ラーメンが生活の一部であり、おもてなしのひとつでもある。だからこそ、消費の多さは単なる外食頻度の問題ではなく、文化の厚みそのものを示しているといえる。
「ラーメン課」を設ける市まで登場
山形県内には、地域ごとに異なるご当地ラーメンが点在する。南陽市の「赤湯からみそラーメン」(『龍上海』発祥)をはじめ、米沢のあっさり系「米沢ラーメン」、蕎麦屋発祥のそばつゆに中華麺を合わせた「鶏中華」、さらには「新庄とりもつラーメン」など、まさに多彩だ。
これらはいずれも地域の食材や気候、生活様式の中から自然発生的に生まれ、今なお日常食として息づいている。
なかでも南陽市は、ラーメンを地域戦略として早くから位置づけてきた。2016年には全国でも珍しい「ラーメン課」を設置し、市内の店舗をマップ化。観光客向けに情報発信を強化した。
さらに、マンガ『ラーメン大好き小泉さん』や新横浜ラーメン博物館とのコラボ「なんようしのラーメンカードラリー」など、遊び心のある施策でファン層を拡大。2023年にはインバウンド向け「ラーメン作り体験」も始動し、のべ約2万7000人の来訪者を集めた。経済効果は1億7000万円。地域の味が観光資源へと進化した成功例である。





        
        
        
      
        
      
          
          
          
        
          
        
        
        
        
        












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