年内に臨時国会を開くべき、これだけの理由 民主党の細野豪志政調会長に聞く

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「同条には召集期日の明記がありませんが、これは要求する側が日程を指定できないというだけで、内閣はある一定の常識的な期間に召集すべきだというのが通説です。自民党も2012年に発表した憲法改正草案で、衆参両院のいずれかの4分の1以上の要求があれば、20日以内に召集しなければならないとしています。ならば我々が召集を求めてから20日以内に、内閣は臨時国会を召集するのが筋でしょう」

だが、細野氏がひしひしと感じ入るのは、単なる憲法違反の問題ではないようだ。

「安保法制を審議した時、与党の強引なやり方が『立憲主義の揺らぎ』と批判されましたが、さらに統治の部分も浸食しているのです。53条は三権分立の重要な規定ですが、立法が求めるものを内閣が無視していいということになってしまうと、立法は内閣の『下請け機関』になり下がってしまうのです」

国会同意人事が停滞している

民主党の細野豪志政調会長は、臨時国会開催を強く求めている(撮影:尾形文繁)

そうなれば、言論の自由などこれまで積みあげてきた人権保障のあり方を、内閣が壊してしまわないとも限らない。細野氏はその広がりを心配している。とりわけ懸念しているのは、国会同意人事の停滞だ。

12月3日には4名(定数7名だが3名減)の公正取引委員のうちの1名、12月7日には3名の会計検査院の検査官1名が任期満了を迎え、不在となる。さらに来年1月1日で増員する特定個人情報保護委員4名も、宙に浮いてしまうのだ。

「いずれも内閣をチェックする重要な役割を持つポストです。それなのに空席のまま放置するのは、まさに権力の濫用というしかありません。とりわけ特定個人情報保護委員は、マイナンバー監視のために増員されたもので、制度の運用に影響しかねません」

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