進化するO2O、ユナイテッドアローズの挑戦《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》
ユナイテッドアローズにとって、O2Oは、ネットとリアルで相乗効果を上げるための当たり前のツールといえる。ほかにもさまざまな新しいO2Oサービスをツールの一環として冷静かつ巧みに活用する。
11年6月、日本でFacebookが位置情報を利用したクーポン配布サービス「チェックインクーポンサービス」を始めた際には、パートナー企業として参加した。木村氏は、次のように話す。
「チェックインクーポンは、10%オフなど粗利のマイナスが伴うため、むやみな利用は避けたいところだが、目先の売り上げ数字が欲しいときに活用する。準備に時間がかからず手軽に実施できるのもメリットで、特定の店舗だけ、あるいは特定の期間だけなど、ピンポイントで売り上げを作りたいときに利用できる」
まさに冷静なる使い分け。
11年10月には、スポットライト(本社・東京都港区、柴田陽社長)が運営する来店ポイントサービス「スマポ(スマートフォンポイント)」を渋谷・原宿の店舗で導入、12年2月には導入店舗のエリアを有楽町・丸の内へ拡大した。
スマポは、利用客がスマートフォンのアプリを立ち上げ、参加店舗に来店して「チェックイン」するだけでポイントをもらえるサービス。貯めたポイントは、参加企業の商品券などに交換できる。通信機能を使って、利用客が店舗の中に確実に入ると自動で検知する仕組み。店舗内には専用機器が設置されている。
現在、参加企業は、大丸、ビックカメラ、丸井、エイチ・アイ・エスなど。来店があった場合に、利用客とスポットライトに支払う成功報酬型のため、導入する際の店舗側の初期負担が少ない。
「ビックカメラ、丸井など他の協賛企業の抱えるお客様が、われわれの新しいお客様になってもらえる可能性がある。とても魅力的。通常の莫大な広告費と比較しても、費用面でも取り入れやすい。今は実験段階で、サンプルデータが貯まってきたところ。これから本格的に、お客様の再来店や購買につながっているかなど実際の効果を調査する」と事業支援本部販売支援部の部長である須藤貴志氏は現在の状況を説明する。
須藤貴志氏