日立が失敗続きの伊鉄道会社を買収したワケ ヨーロッパ大陸に信号と車両製造で足がかり

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アンサルドブレダ社の集大成、ETR400型特急列車

2015年11月2日、日立製作所とイタリアのハイテク関連企業・フィンメカニカ社は共同で声明を発表した。フィンメカニカ社傘下の鉄道車両製造部門であるアンサルドブレダ社の既受注案件と修理修繕事業など一部を除く事業、およびヨーロッパの鉄道信号分野の大手企業、アンサルドSTS社のフィンメカニカ社が保有する全株式(発行済み株式の約40%相当)を日立が買収するという契約(2015年2月24日締結)について、完全に成立したと発表した。

フィンメカニカ社は、傘下2社を譲渡する条件として、両社とその従業員のために可能な限り最高の未来を確保することを条件とし、日立製作所こそがそれに最も相応しい企業として最終合意に達した、としている。

ただ、日本人には馴染みのない、このアンサルドブレダ社・アンサルドSTS社とは、どのような会社なのか。そしてなぜ、日立はこの両社を買収するに至ったのだろうか――。

買収先はどんな会社なのか

アンサルドブレダ社は、元々一つの会社ではなかった。それぞれ別の歴史を辿ってきた、イタリアの重工業・電機メーカーであったアンサルド社とブレダ社が、業界再編の流れの中で2001年に合併したことで誕生した。その親会社であるフィンメカニカ社は、世界22か国に362の営業・製造拠点を持つハイテク関連企業で、航空・防衛分野においては世界でもトップレベルの有名企業だ。ミラノ証券取引所に上場し、年間収益は約160億ユーロ(2013年)を誇る。

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