韓国・財政相インタビュー 李政権の経済政策課題は?
世界的な景気調整が進む中、韓国の経済成長は続くのか。韓国経済をめぐる今後の課題について、朴宰完(パクジェワン)企画財政相に聞いた。
──韓米FTA(自由貿易協定)を、どう評価していますか。
われわれ韓国にとっては、リスクが半分、チャンスが半分と見ている。チャンスはいつもリスクを伴う。韓米FTAによって、サービス産業や特許、投資などの分野は全般的に高度化・先進化されるだろう。システムが開放されることで、競争力は必ず付いてくる。
──低成長、物価高、家計の負債増が韓国経済の三重苦です。今の状況下で、経済運営の基本フレームをどのように設定しますか。
物価高や家計の負債増は、韓国経済の体質から生まれたものだ。まず物価は、上昇率を構造的に抑えられる経済システムを構築すべきだ。一方、家計の負債増が経済システム全体の危機拡大を招く可能性は低いと見ている。しかし、経済的に脆弱な家計にとって、負債が大問題とならないように管理すべきだろう。
低成長か否かについては相対的な概念だ。過去と比べて低成長であることは確かだが、成長率が収斂される現象が世界的に起きていることも事実。グローバル経済が好転すれば、成長率を今よりも1~2%高めることができると考えている。
──とはいえ、李明博政権が公約に掲げた7%成長は難しいのでは。
簡単ではない。しかし、さまざまな努力で潜在成長率を6~7%水準に引き上げられると思う。たとえば、最初の就業年齢を引き下げ、反対に定年を遅らせる方法がある。生産可能人口を増やせば、外国から労働者を呼び寄せる必要もない。また、高卒で就職した人が、働きながら知識や技術、ノウハウなどを学びたいとき、いつでも大学に入学できるようなシステムに変える制度設計も必要だ。そのうえで、脱法・腐敗行為、社会的対立などを円滑に調整できる政治システムが定着すれば、潜在成長力を引き上げることができる。