韓国・財政相インタビュー 李政権の経済政策課題は?
李政権の経済政策 成長にはまだ力不足
──2008年の金融危機に韓国は財政出動で対応したが、国のカネを使いすぎたとの批判もあります。
世の中にはタダで済ますことは少ないではないか。他国と同様に韓国も財政出動を増やし、金融緩和政策を採った。低金利政策も並行し財政拡張的な基調を維持したわけだ。中小企業などに対する債務保証も条件を付けずに延長した。全世界的な流動性拡大で、物価上昇、家計負債の増加、競争力を持たない企業の延命などを招き、韓国経済の体質が少し弱くなった。
しかし、韓国は財政健全性を高めようとする努力を続けており、金融面で緊縮とまではいかないが、中立的な基調に転換した。その結果、家計負債以外の指標は改善された。こういった点が評価され、信用格付けも上方修正されている。
──物価高は不可避だったと。
米国、欧州、日本など主要国が量的緩和政策を行い、グローバルな流動性が高まった。その結果、原油や穀物といった原料・資材価格に資金が流れ込んだと確信している。原料・資材の海外依存度が高い韓国経済に、それが直撃したわけだ。
──今年の物価動向は。
当初、消費者物価上昇率を3・2%と見ていた。が、国際原油価格が20%ほど上昇し、貿易収支が予想よりも悪くなった。しかし、物価安定のシステムが機能し始め、庶民の生活負担を軽減する措置など政策要因もあり、当初の見込みどおり3・2%を達成できるのではと見ている。