スマホ向け無料通話アプリが爆発的に普及 翻弄される通信会社

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アプリの収益化が課題

NTTもグループ全体で対応を図っている。ドコモは15年度までにスマホユーザーの無料通話アプリ使用比率が5割を超えると予想。通話料の減少を前提に、通信との相乗効果が期待できる金融やコンテンツ配信、通販などの拡大を急ぐ。

また、昨年7月にNTTコミュニケーションズが「050+(プラス)」のアプリ配信を開始した。月額基本料315円が発生するが、他の無料通話アプリと違って、固定電話や携帯電話にも割安で電話をかけることができるほか、契約すると050から始まる電話番号を持てるため、アプリの入っていない携帯や固定電話からの電話を受けることもできる。つまり、普通の携帯と同じ使い方ができ、ドコモの事業と競合するアプリだ。

「従来型の携帯でも同じようなサービスを始めようとしたが、グループ会社との兼ね合いから頓挫した。しかし、無料通話アプリの普及が進み、なんとか通話料の減少分を補おうと、今回はゴーサインが出た」(関係者)。KDDIとは対照的に、自前で展開するのは、サービス内容やネットワークへの負荷を自分でコントロールしたいという事情もある。

人気が過熱する無料通話アプリだが、課題は収益の確保。前出のラインも現在は赤字。「収益化の手法はまだ見つけ出せていない」(舛田執行役員)。4月にスタンプの有料化を始めたが、今後どこまで売り上げを伸ばせるかは未知数だ。

携帯会社は大手3社が9割超のシェアを占める寡占状態で、価格競争が起こりにくい中、無料通話アプリの存在感は高まっている。が、顧客を奪いながらも収益化の壁に頭を悩ませるアプリ会社と通話料対策に苦慮する通信会社。両者とも難しい戦いに直面している。

(本誌:麻田真衣、二階堂遼馬 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2012年5月12日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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