スマホ向け無料通話アプリが爆発的に普及 翻弄される通信会社
スマートフォンの普及に伴って、無料通話ができるアプリが爆発的に利用者数を伸ばしている。
その中でも群を抜くのが韓国ネット企業の日本法人であるNHNジャパンが運営する「LINE(ライン)」。昨年6月のサービス開始以降、わずか10カ月で登録ユーザー数が3000万人(そのうち国内は1300万人)を突破した。これは100万人獲得すれば大ヒットとされるアプリの世界では異例で、SNS最大手のフェイスブックを上回る普及スピードだ。サービスを統括する舛田淳執行役員は「開始当初は1年間で100万ユーザーを目標としていたが、中東や東南アジアなど海外にも自然にユーザーが広がった」と驚きを隠さない。
ラインはユーザー同士であれば、無料で通話やメールが可能。国内・海外や通信会社も問わない。しかも、アプリがスマホ内のアドレス帳を読み込んで、友人を自動的に見つける。ただし、ラインでは固定電話や携帯電話の番号にかけることはできない。
通話だけでなくメールも人気で、「スタンプ」と呼ぶ動物やキャラクターなどの絵文字の多さが特長だ。NHNジャパンは、2012年末までの登録ユーザー数1億人を目指す。
ベンチャーが続々と参入
同じようなアプリはライン以外にも、無料通話の先駆者である「Skype(スカイプ)」のほか、「カカオトーク」、「Viber(バイバー)」など続々と登場している。
無料通話アプリを支える「ピアツーピア」という技術は、音声を圧縮してデータ化、インターネット網を利用し相手先に届ける仕組みだ。そのため、NHNジャパンなどのアプリ提供会社はサーバー構築などの大規模なインフラ投資をする必要がない。また、基本ソフトなども無償で手に入れることができるため、ベンチャー企業でも開発しやすい。