スマホ向け無料通話アプリが爆発的に普及 翻弄される通信会社

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加えて、10年度855万台だったスマホの出荷台数は11年度に1986万台(予想値)と急拡大(MM総研調べ)。スマホへ買い替えると最低でも1000円程度、データ通信の基本使用料が上昇するため、「せめて通話料は節約したい」と思う利用者がアプリに飛びついている。

NTTドコモが昨年11月に実施したアンケートでは、月2回以上の頻度で無料通話アプリを利用するスマホユーザーは2割超。今後もスマホの普及拡大につれて、利用者は伸びると見込まれる。

このあおりを受けているのが、NTTやKDDIなど通信会社だ。通話料はもともと右肩下がりだった(下図)が、無料通話アプリの普及が拍車をかけている。しかも、アプリの利用者が増えることで、通信会社の持つネットワークにかかる負荷は小さくない。

通信会社にとって、無料通話アプリは“敵”。実際に今も国内外で通信会社は一部、無料通話アプリへの接続規制や制限を設けている。ところが、最近はアプリ提供会社と通信会社の距離感が縮まってきている。

流れを大きく変えたのはKDDIだ。同社は10年にスカイプと提携し、「au Skype」という無料通話アプリを配信した。これはKDDIの持つ電話回線を使っており、インターネット網を利用した従来のスカイプよりも通話品質がよいことを売りにしている。

10年当時、KDDIはスマホの発売で他社に遅れを取り、契約の獲得に苦戦していた。そこで、自ら「禁断のアプリ」と呼んだ独自サービスの提供で起死回生を狙ったのが提携のきっかけだ。通話料が減っても、スマホの販売数が増えれば、データ通信料の増加で補えるとのそろばん勘定もあった。サービスの統括をする八木橋裕サービス企画本部課長は「無料通話アプリ普及の動きは止められない。今後も柔軟にほかの無料アプリとも組んでいく」と意気込む。

 

 

 

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