アコーディア・ゴルフ内紛の陰に、ライバル・PGMによる統合計画
これを受けて翌27日、アコーディアがこれまでの経緯を暴露。今年1月26日、PGMから経営統合の提案を受けていた。3月22日にPGMから統合提案の凍結通知があった。同日、オリンピアからコンプライアンス違反の調査要請が届いた。さらに、秋本専務はPGMと平和側の利益を優先している疑いがあり、統合を実現したいPGM側が、竹生社長を辞任に追い込むために、コンプライアンス疑惑を仕掛けたという趣旨の反論を行った。
泥仕合となりつつあるが、業界2強の経営統合シナリオは、もっと前から動き出していたものだ。
カギ握るPGM・神田社長
このシナリオのカギを握る人物がいる。昨年5月までアコーディアの取締役を務め、今年1月、PGMの社長に転じた神田有宏氏だ。
神田社長は東海銀行を振り出しに、メリルリンチからゴールドマン・サックス(GS)に転じた、典型的なインベストメントバンカーである。1990年代末、日本で破綻したゴルフ場の再生事業に乗り出したGSが、買収したゴルフ場の運営会社としてアコーディアを(実質的に)設立した2002年2月に、GSから取締役として派遣された。いわばアコーディアの創業メンバーの一人。03年に取締役としてアコーディアに入った竹生社長よりも古株だ。
IR室長などを務めていた神田氏は、昨年5月にアコーディア取締役を退任(10月に顧問も辞任)。原因の一つには竹生社長との対立があった。そして、両者の対立を引き起こしたのが、ほかならぬアコーディアによるPGMの買収案である。
GSにとってのアコーディアと同じように、米系ファンドのローンスターが、買収したゴルフ場の運営会社として設立したのがPGM。株式上場では、PGMがアコーディアよりも約1年先駆けたが、全株売却の“イグジット”ではGSが先行。ローンスターは、昨年11月に、平和のTOBに応じる形で、6割超を保有していたPGM株をようやく売り抜けることができた。
実はその前に、水面下で“売り”に出ていたPGMにアプローチしたのが、アコーディア取締役だった神田氏。アコーディア社内でPGMの買収を主張したが、竹生社長の反対に合い、買収計画は頓挫した。