アコーディア・ゴルフ内紛の陰に、ライバル・PGMによる統合計画

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2強統合に一定の効果

アコーディアとPGMの経営統合にメリットはあるのか。下表をご覧いただきたい。両社の業績や財務状況、統合後のイメージを示した。

決算期の違いから、PGMは昨年の震災の影響をモロに被ったという事情はあるが、収益力、財務体質などほとんどで、PGMがアコーディアに劣っていることが見て取れる。

両社とも、破綻ゴルフ場の買収を繰り返して大きくなったが、アコーディアは吸収したゴルフ場運営大手だった日東興業のスタッフを進駐軍として、本社主導の徹底した収益管理と画一的だが効率的なゴルフ場運営の体制を確立した。各コースの特徴がなくなり、ビジターを大量に入れるため、コースはつねに大混雑。プレー環境の悪化でメンバーからの評判は必ずしもよくないが、高い収益性で財務改善に成功している。

また、アコーディアは、法的手続き前にコース経営会社の経営者から経営権を譲り受け、経営権を握ってから自ら法的手続きを取る手法を多用した。入札を経ずにゴルフ場を取得できるうえ、債権カットも徹底して行ったことで、総じてコースの取得単価が低い。

一方、PGMはローンスターから派遣される外国人が幹部に就く期間が長く続いた。「大過なく任期を全うし、帰国することばかりを考えているとしか思えないトップが多かった。買収した各コースの支配人の発言権が強く、本社のコントロールがほとんど利いてこなかった」(ゴルフ専門誌記者)。結果的に、「アコーディアに比べるとメンバー重視の運営につながっている」(同)との評価はあるものの、収益性などでアコーディアに水をあけられている。

ゴルフ場の取得でも、PGMは法的手続きに移行後に、入札で取得するケースが多かった。債務のカット率が下がるうえ、取得価格が高くなるため、預託金債務や有利子負債の増加につながった。

ただ、収益力が低い分、PGMは税務上の繰越欠損金がまだ200億円以上あり、現状のままでは使い切れない。アコーディアのそれはほぼ底を突いた。両社が統合すれば、アコーディア側の収益で、PGMの税務上の繰越欠損金を使用することができる。

加えて、「アコーディアよりもPGMのほうが優良コースが多い。対して、オペレーション能力はアコーディアが上。アコーディアの本社スタッフがPGMの本社運営を手掛ければ、PGMは合理化の余地が大きいだけに、統合で一定の効果は期待できる」(ゴルフ場業界関係者)。

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