「これなら毎年受けてもいいよ!」インフル点鼻ワクチンが子どもにはメリット大な訳――注射との違いや効果、副作用について《医師が解説》
では、フルミストと注射では、どちらの効果が高いかというと、子どもでは「フルミストのほうがよく効いた」研究が多いです。
アメリカやヨーロッパでは、フルミストと注射を比べた大規模な研究がいくつも行われています。例えば、アメリカの研究では、5歳未満の子どもに接種したところ、フルミストを接種した人のインフルエンザの発症率は、注射した人の約半分になりました。鼻スプレー型のほうが感染防御力は高かったのです。
ヨーロッパの研究(2006年)でも、フルミストのほうが注射より約50%多く発症を防いだという結果が出ていて、かつ熱や咳などの症状も軽くすんだということです。喘息の子を対象にした研究でも、安全に使え、注射より3割ほどよく効いたと報告されています。
ただし、すべての年でフルミストが勝っているわけではありません。
インフルエンザウイルスは毎年少しずつ変化します。特に「H1N1型(新型インフルエンザ)」が流行した年では、フルミストの効果が下がっていました。そのため、アメリカでは一時期「使用を見合わせる」判断が出たこともあります。
フルミストの副反応は?
よくある副反応は、鼻水・鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み・違和感、軽い咳、微熱、だるさ、頭痛、食欲が落ちる、筋肉痛などの軽い風邪症状で、とくに接種当日~翌日に症状が出やすいです。
呼吸がゼーゼーする、呼吸が荒い(2〜4歳で起きやすい)、耳の痛みや中耳炎の悪化(風邪様症状に続いて見られる)などが起きることもあります。これらの多くは接種当日〜2、3日で軽快しますので、水分と休養、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)で様子を見ることが一般的です。
注意したい症状としては、まれに息苦しさや、ゼーゼーが強い・長引く(喘息の既往がある場合は要注意)、強いアレルギー症状(蕁麻疹が全身に広がる、顔や喉が腫れる、声がれ、呼吸が苦しい)、高熱(目安として38.5℃以上が2日以上)、ぐったりして反応が悪い、けいれんなどが見られます。
これらの症状が表れた場合は、接種を受けた医療機関に電話などで連絡し、受診すべきか否かを確認してください。


















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