「もしもタワマンから落ちたら……」。頻発する子どもの転落事故《「設計の限界」と「親の限界」》それでも注意し続けるしかない現実

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ベランダの赤ちゃん
「うちの子に限って……」という“まさか”で多くの転落事故が起きています(写真:マハロ / PIXTA)

「なぜタワマンに転落防止用の庇(ひさし)がないのでしょうね」

タワーマンションから女児が転落死した報道を受け、筆者がコメンテーターを務めているABCテレビの情報番組「おはよう朝日です」で司会の岩本計介アナウンサーが投げかけた。当時、筆者は即答できず、大変不甲斐なく思うとともに、そんなことは今まで考えたこともなかったと気づいた。

「転落しても助かる高層建築」は非現実的

高層建築の各所に“庇”のような張り出し構造を設け、落下した際の被害を軽減する設計はできないのだろうか。

大規模建築物の設計を手がける大阪府内の建築設計事務所に取材したところ、現状では難しいことがわかった。

高層建築では建築基準法を遵守することは大前提としたうえで、事故を未然に防ぐ設計はしているが「人の転落を前提とした設計」をしていない。

高層建築のエントランスや人が通る部分に設置されている庇は、上階からの落下「物」から人を守る側面はあるが、主な目的は雨や日差しが入り込むのを防ぐことである。

そもそも庇を大きく張り出すことは、建ぺい率の制限という構造上の制約がある。建ぺい率とは、建物を真上から見た際の面積が敷地全体の面積に対してどの程度の割合を占めるかを示すもので、地域ごとに上限が定められている。

人の転落が防げるほどの大きな庇を設けるよりも、建物本体を広くしたほうが床面積を確保でき、土地をより有効に活用できることになる。

【画像】子どもの転落防止策やチェックリストなどを画像で確認(7枚)
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