「どうやって接すればいいんだ?」経験豊富な上司ほど悩んでいる 若手部下との"適切な距離" 今すぐできる4つの改善策

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40歳の課長は、なぜ先輩後輩の間柄なのに、呼び捨てにしているのか理解できなかった。その距離感がわからない。近づきすぎれば嫌がられる。離れすぎれば無関心と思われる。その微妙なバランスが、見えないのだ。

若手の多くは、SNSで人との距離を日常的に調整してきた世代だ。既読をつけてもすぐに返さない。絵文字で温度を調整する。会う回数より、関係のテンポを重視する。だから相手次第で堅苦しい呼び方や敬語など使わない。そんな繊細な距離感を感覚的に使いこなしている。

一方、ベテラン上司は、相手に合わせた柔軟な対応ができないことが多い。

接し方、話し方は、まず肩書や階層を気にすることが前提だ。序列を気にし、立ち位置も、席次も、常にマニュアル通り。そんなアナログな信頼構築の型で成果を上げてきた。だからこそ、チャットやオンラインのフラットで即時的な関係に適応できず、どこまで踏み込んでよいのかわからなくなる。

Z世代の「適度な距離」とは何か

いまの若手は、つながりたいけれど束縛されたくない世代である。これはSNS時代の二面性とも言えよう。

一見親しそうに見えても、現実では一定の距離を置くというケースも多い。プライベートを明かしすぎないことも大きな特徴だ。

先述した先輩(28)も、

「マサって結婚してたんですか? 知りませんでした。アイツ、全然自分のこと話さないから」

「マサ」「タケ」と呼び合う仲になっても、何もかもが近しくなっているかというと、そうではない。若者たちは、距離を自在にコントロールする文化の中で育っている。自分の領域に土足で入ってきてほしくないという自己防衛の感覚が働いているだろう。

重要なのは、彼らが冷たいわけではないということだ。安心して話せる距離を細やかに調整しているだけなのである。この感覚を理解しないと、どれだけ経験を積んだ上司でも若手から距離を置かれる。

■今すぐできる4つの改善策

では、ベテラン上司はどうすれば若手と心地よい距離を築けるのか。ポイントは、近づくのではなく”余白をデザインする”ことだ。具体的な改善策を4つ紹介しよう。

(1)話しかける前に「ひと言」かける

オンラインでも対面でも、「今、少し話しても大丈夫?」というひと声があるだけで、相手は心の準備ができる。上司が相手のペースに合わせる姿勢を示すだけで、若手は安心して耳を傾けるようになるだろう。

28歳の先輩は、自然とこれをやっている。「ちょっといい?」と声をかけてから話し始める。しかし40歳の課長は、いきなり本題に入ってしまう。この小さな違いが、大きな距離を生むのだ。

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