JR3社、「軒並み業績好調」の先に待つ未来 2015年度の上半期はいずれも利益2ケタ増

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もし、現在の3社の好調が下期も続くのであれば、通期決算は会社が現在公表している業績予想を上回って着地する可能性がある。3社とも営業利益だけでなく、純利益も上場以来の最高益を更新する予想となっているが、それすら上回ることになる。

各社で異なる来期以降の方向性

JR西日本は「エヴァ新幹線」で北陸新幹線ブームの反動を抑えられるか(撮影:尾形文繁)

業績絶好調の3社だが、今後の方向性は各社で異なる。現在のような北陸ブームが来年も続くと見る関係者は多くない。だとすると、来期の北陸新幹線の売り上げは今期よりも減る可能性がある。

その影響はJR東日本よりもJR西日本に大きく現れそうだ。JR西日本は、11月7日から山陽新幹線に「エヴァンゲリオン新幹線」を走らせる。JRグループで展開している大型観光イベント「デスティネーションキャンペーン」は、来年4~6月に岡山県で開催することが決まっており、来期は山陽新幹線に注力するものと思われる。北陸の落ち込みを山陽エリアでどこまで補うことができるかがカギとなる。

JR東日本は北陸新幹線の影響の小ささが幸いすることに加え、来年3月26日には北海道新幹線の開業が控えている。新規開業区間はJR北海道エリアの新青森―新函館北斗間であり、JR東日本エリアでの新規開業はない。つまり、北陸新幹線のようにJR東日本が新幹線使用料を支払う必要がないわけだ。北海道新幹線につながる東北新幹線の売り上げはJR東日本にとって利益に直結する。

問題は東京―新函館北斗間の所要時間が4時間程度と長く、新幹線利用者がどこまで増えるか未知数なこと。収入を増やすには、仙台、宇都宮など東京以外のエリアから北海道に向かう需要を開拓する必要がある。

JR東海の東海道新幹線は、朝夕は乗車率が100%近い。これ以上の集客余地がないようにも見えるが、先ごろ最高時速285キロメートルのN700Aを追加投入することを発表した。これにより、運行ダイヤに余裕ができ、増発が可能になる。収入増加の余地ができるわけだ。

とはいえ、ただでさえ過密ダイヤの朝夕である。劇的に本数を増やせるわけでもない。今後の収入増には、本数の増加よりもむしろ、比較的利用者の少ない平日昼間の時間帯や各駅停車タイプの「こだま」を活用するといった工夫が必要となろう。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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