JR3社、「軒並み業績好調」の先に待つ未来 2015年度の上半期はいずれも利益2ケタ増

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使用料は新幹線事業の利益相当分という前提で決定されるので、減価償却費や人件費、動力費など諸費用を差し引くと、本来なら利益は出ないことになる。だが、売り上げが想定を上回っているとすれば、儲けが出ているのは確実だろう。ホテルや小売りなど、北陸エリアで展開している周辺事業にも貢献しているのは間違いない。

北陸新幹線が売り上げの牽引役となっているのは、JR東日本も同じ。同社における北陸新幹線の売り上げは275億円で、JR西日本を上回る。

JR東日本にとっての北陸新幹線の新規開業区間は長野―上越妙高間の約60キロメートルにすぎないが、長野までの既存区間も恩恵を受ける。同社の北陸新幹線の売り上げがJR西日本よりも多いのは、このためだ。

ただし、距離が短いにもかかわらず、長野―上越妙高間の新幹線使用料は年間165億円もかかっている。既存区間の儲け分がしっかり徴収されているようだ。その意味では、JR東日本の業績好調を支えているのは、ほかの2社よりウエートが高い在来線や、不動産、流通などその他の事業といえよう。

3社とも下半期は見通しを変えず

JR東海はリニア実験線の減価償却費の減少がプラスに働いた(撮影:尾形文繁)

JR東海も業績好調の要因は新幹線だ。3月にスタートした最高速度285キロメートルへの引き上げや「のぞみ10本ダイヤ」の導入などが奏功し、東海道新幹線の収入は前年同期比で5.7%増えた。

鉄道は巨大な装置産業である。車両や線路といった設備を維持するためのコストが莫大にかかるため、損益分岐点が高い。だが、一度その水準を超えてしまえば、収入の大半が利益になる。

在来線やその他事業も含めたJR東海の連結売上高は前年同期比で430億円増えたが、営業利益は450億円増えた。利益の増加分が売上高の増加分を上回っているのは、山梨リニア実験線の減価償却費など、営業費用が20億円減っているからだ。売り上げの増加分がまるまる利益になっていることがよくわかる。

上半期の好決算を受けて、3社とも通期の業績予想を上方修正している。とはいっても、上半期の利益超過分をそのまま通期に上乗せした程度にすぎない。裏を返せば、下半期については従前予想を変えていないということだ。

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