そしていくつかのお見合いをして、出会ったのがたける(33歳、仮名)だった。父親とは対照的に、対等な関係を尊重するタイプ。お付き合いが始まると、みさとは「ようやく心を開ける男性に出会えました」と、筆者に言っていた。
しかし、2度3度とデートを繰り返していくうちに、「いつか彼が変わるのではないか。今は優しいけれど、結婚したら父のように支配的な一面が出るのではないか」。そんな不安にかられるようになった。
その不安な気持ちを筆者との面談で度々口にするので、「焦らずにお付き合いをして、関係を育てていきましょうね。たくさんの時間を重ねていくことで、不安は小さくなっていくのではないですか?」とアドバイスをした。
親の呪縛から逃れるには?
今回の3つのケースに共通するのは、親の価値観や支配が無意識のうちに本人の判断に介入している点だ。婚活がうまく進まないのは、単に条件や相性の問題ではなく、こうした心理的な制約が影響していることがある。
では、どうすればこの3人は婚活を前に進めることができるのか。
共通のカギは、親から心理的に自立することである。
あけみのように、親が過干渉で条件を押し付けてくる場合は、まず自分が本当に求める条件を整理して、紙に書き出してみる。母親の価値観と自分自身の希望を区別し、切り離すことで、婚活の選択肢が広がり、交際の決断も自分の意思で行えるようになるのだろう。
みのるのように、亡くなった母親の言葉を無意識に信奉しているタイプは、母親の価値観と自分の価値観を意識的に切り分ける。
今は、パートナー同士が平等な立場で関係を育んでいく時代。それを頭に入れて、相手と向き合えば、会話や条件提示の仕方が変わり、交際に柔軟性が生まれるだろう。

みさとのように、支配的な親に反発して正反対の相手を求めた場合は、時間をかけて相手と向き合う。そのなかでトラウマがフラッシュバックしたとしても、穏やかな時間のなかで信頼を積み重ねていけば、不安も少しずつ小さくなっていき、相手に飛び込めるようになる。
親から受け継いだ価値観は、そう簡単に消すことはできない。しかし、結婚とは、パートナーと2人で築いていく生活だ。親と自分を切り離し、“パートナーとどんな結婚生活を送りたいのか”という視点を定めると、ブレない婚活ができるようになるのではないか。
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