「反発規制」があっても"飛ぶクラブ"は作れる 日本に足りないのは例外を突くしたたかさ
その動きと合わせるかのように、少子高齢化によるゴルフ対象人口の減少もあり、ゴルフクラブの売り上げは減少している。メーカーの国内出荷金額をみると、ルール前の2007年に1243億円あった市場は、2014年は966億円に縮小した。ちなみにピークだった1991年1753億円と比べると半減だ(矢野経済研究所調べ)。
革新が起こっていない中では、生活必需品でないゴルフクラブに爆発的な需要は生まれない。3年前に買ったクラブも、今年の新商品もあまり違いを感じないのだから。しかし、本当に飛びを実感できるような、たとえば60歳を過ぎたアベレージゴルファーがコンスタントに250ヤード飛ばすことが出来るクラブが登場すれば、話は別だ。家を売ってでも(!)買いたくなるのがゴルファーの心理である。
メーカーとゴルファーが抱えるモヤモヤ
現状のままでは、年齢とともに飛ばなくなることに我慢ができなくなったゴルファーが引退を早め、更なるゴルフ人口の減少も加わって、ゴルフ産業の衰退は決定的なものになる。この強力な負のスパイラルを打ち破る手はある。2008年にできた高反発規制のルールを改正し、グローバル規制に対してモノ申すことである。
日本でいちばん売れているゴルフクラブは、ダンロップスポーツのXXIO(ゼクシオ)だ。発売から16年経つ今年12月、9代目のXXIO9が発売される。10月に行われた記者発表で、ダンロップスポーツの木滑和生社長は記者からの質問に答えて「高反発クラブは出さない。ルールがある以上それを守るのがゴルフ」と答えた。反発規制を守るため、シャフトの工夫とヘッド重量アップによって、ヘッドスピードアップを実現、前モデルより5.5ヤードの飛びを実現するとの説明だった。
一方で、ルール違反と明言した上で高反発クラブを発売するメーカーもある。ゴルファー心理としては「ルールがあってのスポーツ」なので、それを無視するのは後ろめたさがある。メーカーとゴルファーの双方にあるモヤモヤを吹き飛ばすためにも、飛びの更なる進化、革新ができる開発環境が必要ではないか。
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