「飲食の店長はいまや高級取り」 丸亀製麺の「トリドール」が発表した《年収2000万円店長》が与えた衝撃…「単なるウケ狙い」とは言えないワケ
ここまで徹底して「人に対して投資をする」という発想がある点も、丸亀製麺の“年収2000万円店長”が単なる「マスコミウケを狙った一発ネタ」なのではなく、同社の経営戦略上の最重要キーワードだと言えます。
では同社には、本当にそれを実現できるだけの企業のポテンシャルがあるのでしょうか。数字面から検証してみたいと思います。
「店長の年収」をターゲットとした理由
まず日本の外食産業の動向から見てみます。
日本フードサービス協会DBによると、00年以降、日本の外食産業市場は25兆円前後を維持しつつ、19年には26兆円を突破しました。コロナ禍で大きく落ち込みはしたものの、23年には再び24兆円以上に戻し、市場は拡大しています。

外食産業の中で、業績を伸ばしている2社で筆者が注目しているのが、トリドールとスシローのF&LCです。
圧倒的に強い業態を1つ持ち、売り上げは共に2000億円を超え、海外展開を積極的に進めるという点で類似性があるためです。
その両者の直近決算データを見ると、両社共に好業績であることがわかります。

25年3月期は海外事業の減損の影響でトリドールは営業利益を落としていますが、26年3月期第1四半期決算では80億円を超える営業利益を出し過去最高売り上げと利益となっています(26年3月期第1四半期の営業利益は80億5200万円)。
同社の業績を支えるのは何と言っても丸亀製麺です。全社の47.8%を売り上げ、111.5%の前年比。同社の海外事業の売り上げを上回る基幹事業です。つまり丸亀製麺の成長こそが、同社の当面の成長の要であることがわかります。
しかし、国内その他事業は前年比124.2%、海外事業が118.2%という数字に比べると、丸亀製麺の伸び率には物足りなさもあります。26年3月期第1四半期でも丸亀製麺は前年比111%と他セグメントに比べると大きく伸びていません。
同社が成長していくためには、丸亀製麺をもう一段階成長させる必要があるのです。




















無料会員登録はこちら
ログインはこちら