「飲食の店長はいまや高級取り」 丸亀製麺の「トリドール」が発表した《年収2000万円店長》が与えた衝撃…「単なるウケ狙い」とは言えないワケ

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3年後には、年収が最大で2000万円となる最上ランクの店長が10人程度誕生すると想定しています。これは話題にならないはずがありません。

同社の粟田貴也社長は「働く人の幸せややりがいを会社として最優先する決意の表れ」と同社の経営方針説明会で伝えていました。

同社の最上位の店長年収が1000万円では、会社として「従業員の幸福を最優先にすると宣言するには物足りない。新しい人的資本経営=心的資本経営を徹底的に追求してくれるメンバーにふさわしい水準にしたいとの思い」で設定したということでした。

この「心的資本経営」とは何なのでしょうか。

トリドールは人の「心」に注目

これは同社独自の言い回しです。一橋大学CFO教育研究センター長の伊藤邦雄先生の「人材版伊藤レポート」で大きな話題となった人的資本経営を基に生み出された言葉です。

人材版伊藤レポート

人を“資源”と見るのではなく“資本”ととらえ、積極的に人に投資をすることで企業価値を生み出していくことが、日本企業の唯一残された道であると説いたものが「人的資本経営」のポイントです。

特に、人的資本経営を実践に移す際には、次の3つが重要であると指摘しています。

1:人的資本は適切な「環境」を整備・提供すると、価値の創造、増殖が起こる
2:各人材の潜在力を見い出し、それが育つための「触媒」を提供すること
3:人的資本のサクセッションプランを「経営戦略との関係性」で行うことが必要

企業は適切な環境を整備し、触媒を提供することで社員の力を引き出し、経営戦略と人事戦略を連動させること。このような人材投資でなければ、人が資本として価値を生み出すことがないというわけです。

トリドールではこの考え方を基に、人の「心」に注目し、心を大切にするという方針を立てていることがわかります。

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