ドン・キホーテなどディスカウント系チェーンが絶好調!物価高なのに「安売り」できる納得のカラクリ
こうした事情も、PBで多くの商品をカバーしている大手スーパーにとって、有利に働いているのかもしれない。複数の店を探し回らなくても、安いPBで一通り買い揃えることができるのがイオンなどの大手スーパーであろう。
消費者の一部がそう思うだけで、かなりのシェアが変動する。毎月出ている帝国データの「食品主要195社」価格改定動向調査(2025年9月)では、昨年を上回るペースで食品の値上げが進んでいることが明らかになっており、消費者の節約志向は強まるばかりである。
そんな中、9月末にはイオンが、トップバリュ商品60品目の値下げを発表した。当然、限られた品目の値下げではあるものの、これを買いに行けばついでに他の商品も買って帰るだろう。値上げラッシュの継続は、幅広いPBを取り揃える大手にとって、一気にシェア拡大を実現する大きなチャンスと化しているようだ。
過去の常識が通用しなくなる時代に突入
最後にひとつ、ディスカウントスーパー、大黒天物産の衝撃の粗利ミックスについて触れておきたい。この会社も元々はグロサリーの利幅を抑えて集客し、生鮮で利益を稼ぐタイプの構造であったのだが、グロサリーのPB化、そして自社内製化を進めて、利益が十分確保できるようになったことで、生鮮で稼ぐことをやめたのである。

今ではこの会社の生鮮は利幅どころかほぼ原価(利幅はマイナス)で売っているのであり、かつての収益材と集客材を入れ替えたことで、消費者が劇的に安い生鮮を手に入れられる店になった。
こんな粗利ミックスの小売りチェーンを他では見たことはない。こうしたこともあって、この会社はここ5年ほどで最も売上高を増やしたスーパーの一つとなった。経済環境がインフレへと変わったことで、小売業における過去の常識が通用しなくなる時代に入ったことを感じる。
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