50歳で早期退職し起業、彼女の人生観を変えた「ひとり暮らし」。《60歳からは新しいステージへ》「私はいつも幸せ」と答えられる暮らしがしたい

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ヨシダさん
ヨシダ ヨウコ/寝具店の娘として生まれる。28年間出版業界に勤務。編集、営業、新規事業、流通、CSなど幅広い部署を経験したのち独立。現在は快眠コンシェルジュとして研修やセミナーを行う。著書に『眠りのチカラ』。ネムリノチカラ(撮影:今井康一)

仕事優先で駆け抜けた30代、充実していたが、どこかに心が擦り切れていく感覚もあった。

「私はハードワークしてしまいがちなところがあるんですよね。若い頃からそうで、仕事をしすぎてまだ20代前半なのに睡眠不足で前髪だけ真っ白になってしまったくらい。白髪はずっとなおらなくて、周りの人にはそういうおしゃれ染めだと思われていました(笑)」

若い頃のヨシダさん
30代で広告営業部の部長職を経験していた頃。忙しかったが、仕事は楽しくて仕方がなかった(写真:ヨシダさん提供)

素敵な浴室がもたらしてくれた心の変化

40歳を迎えた頃から、暮らしに対する意識が少しずつ変わっていった。職場に近ければ、住まいは狭くても「寝られればいい」と考えていたのが、「もう少し落ち着いて暮らしたい」と思い始めたのだ。

そのためには2LDKぐらいの広さが欲しい。別の賃貸に移ることを考えたが、広さを求めれば家賃が上がる。それならば、いっそ分譲マンションを購入し、自分の拠点を持ってもいいのではないか──。

そして2005年に出会ったのが、このマンションだ。

ベッドルーム
窓辺にあるオフホワイトで統一されたベッド。いまは快眠コンシェルジュとして、寝具選びにも詳しいヨシダさんだが、30代のころは暮らしよりも仕事の比重がはるかに大きかった(撮影:今井康一)

「新築のモデルルームを見に行って、お風呂に惹かれたんです。このマンションはお風呂に窓があって、そこから小さなベランダにつながっている。『あ、こんなお風呂ってあるんだ』って、感動しました。

バスルーム
浴槽の窓の外側はベランダ。特徴的な間取りだ(撮影:今井康一)

当時の私はお風呂グッズに興味があって、せっけんや入浴剤を手作りして同僚にプレゼントしたりしていたんです。

だから素敵な浴室にピンときました。自分の次のステップに必要な何かが、ここにありそうで」

通勤時間は長くなるが、直感を信じて購入に踏み切った。

実際にこの部屋はヨシダさんの暮らしを、“心地よさ”にフォーカスする方向に変えていった。

なんといっても浴室だ。窓からは朝の光が差し込み、湯気のなかに外気が流れ込む。湯舟につかり風にあたると、日々の労働で蓄積された疲れがほどけていく。

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