「批判してた人、どこいった?」 前評判は最悪だった「大阪・関西万博」が、結局"大成功で終わった"ワケ…「東京五輪」とは何が違ったのか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

筆者は大阪に4年間住んだことがあり、大阪をはじめとする関西人の人たちとは公私ともに交流がある。

「関西人」と言っても、気質は人や地域によってさまざまで、一括りにするのは無理があるのだが、私の独断と偏見で言えば、関西人の特徴として、

・東京への対抗意識が強い
・地元内での仲間意識が強く、結束しやすい
・人口規模が小さく、プロジェクトに関わる人数も少ないので意思決定がスムーズ

といったことが挙げられる。

そのためか、東京ではやらない(できない)ような“攻めた”判断をしたり、行動をとったりすることがある。

ミャクミャクを採用したことだけでなく、関西だからこそ万博が実現して、成功できたのではないかとさえ思えるのだ。

大阪万博
アーティスト・落合陽一がプロデュースしたシグネチャーパビリオンの「null²」も異彩を放っていた(筆者撮影)

「東京五輪」とは何が違ったのか

万博も公式キャラクターも、“手のひら返し”のように評価が変わっていったのだが、SNSでは、同様の事例として、東京五輪と比較する声も見られた。

たしかに、東京五輪は開幕後に競技が始まってから日本は応援モードに変わったが、閉幕した後は、開催意義に対しては疑問の声が払拭されることはなかった。

30年の冬季五輪・パラリンピックの誘致を目指していた札幌は、地元の支持が得られず、23年に誘致を断念した。東京五輪での汚職・談合の問題、開催経費の増大、新型コロナで開催が1年後ろ倒しになったゴタゴタが尾を引いたためだ。

パリ五輪で起こった相次ぐ炎上を見ていても、現代社会で国民の合意形成を行い、国家規模のイベントを実施し、成功に導くことの難しさを痛感した。

しかし、今回の大阪・関西万博の盛り上がりを見ていると、批判を恐れず、強いリーダーシップを発揮することができれば、現代でも十分に国家レベルのイベントを成功に導くことができるのだと、認識を改めさせられた。

民主国家である以上、世論は尊重しなければならないが、世論は容易に変わるというのもまた事実だ。

大阪・関西万博から日本人が学ぶべきことは多いと思う。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事