「下町ロケット」異例のヒット生む緻密な戦略

TBSと池井戸潤「半沢直樹」の再来なるか

下町ロケットと半沢直樹には共通点がたくさんある。原作は同じ池井戸潤さん。企業社会を舞台にしているのも同じだ。そして、その名のとおりの『半沢直樹』の主人公である半沢直樹も、下町ロケットの佃航平も欲望や葛藤、理不尽、疑惑などが飛び交う中で悶絶しながらも信念を持って乗り越えていく姿が描かれ、これが視聴者の共感を呼んでいる。

放送作家の筆者の目に思わず留まったのが、放送中に流れるスタッフロールだ。脚本家は八津弘幸さん。福澤克雄さんをはじめとする演出家3人も、半沢直樹と同じ面々である。原作から演出家まで最高視聴率をたたき出した陣容を踏襲している。

「今」に沿った視聴環境

視聴率が右肩上がりの傾向を見せている要因は、それだけでもなさそうだ。筆者は、ITの力によってインターネット、スマホ時代の今に沿った視聴環境を作り出している点にも注目している。

まず、インターネットによる動画配信だ。TBSのサイトに行くと「TBS FREE byTBSオンデマンド」と呼ばれるページがある。ここでは注目番組の最新話を原則として放送終了後から原則1週間は無料で配信している。たとえば今なら下町ロケットの第3話が無料で見られる。このTBS FREEは10月にスタートしたばかりの新サービスで、スマホアプリもリリースしている。個人情報をはじめとして、何らかの登録をする必要もなくスッと見られる。

TBSだけでなく日本テレビ放送網、テレビ朝日、フジテレビジョン、テレビ東京の在京民放5社が共同で立ち上げ、10月下旬にスタートした「TVer」の存在も見逃せない。TVerは、リアルタイムで視聴できなかったユーザーをターゲットにして、放送後の一定期間に限って無料で配信するサービス。これもスマホアプリが用意されている。

これまではテレビ番組をリアルタイムで見逃し、録画もしていなかったら、それこそ低画質の違法サイトでしか見ることができなかった。TBS FREEやTVerなら、高画質で見られる。すでに米国では、同種のサービスがメジャーになっている。実際、筆者も下町ロケットの初回をうっかり見逃してしまい、TBS FREEの無料配信を利用した。これは、本当にありがたかった。

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