「かっこいいけどイケイケじゃない」 実写映画『秒速5センチメートル』に《松村北斗が必須だった》ワケ 批判されがちな実写化、なぜ成功した?

実写版映画『秒速5センチメートル』(奥山由之監督)が10月10日に公開され、興行収入が5億円超、週間ランキング2位という好調な滑り出しを見せている(2025年10月14日現在)。
2007年に公開された新海誠監督の同名のアニメーション映画を原作に実写化したものだが、Filmarksのレビューも4.1(同10月14日現在)と高く、原作ファンにも嫌われていない印象で“ヒットしながら評価も高い”という様相を呈している。
なぜこのような状況になっているのだろうか。アニメ版との比較や過去の新海誠作品のヒットの法則、そして松村北斗という俳優の本作へのハマり方などから考えてみたい。
懸念された、『打ち上げ花火』の二の舞という事態
新海監督は「心の波しか描いていないようなアニメーション映画だからあまり勝算が立たないんじゃないか」と実写化に後ろ向きだったという。(※1)
確かにもともとの話は、小田急線の豪徳寺駅から想いを寄せる人(篠原明里)が待つ栃木県の岩舟駅まで、中学1年生男子の主人公(遠野貴樹)が行けるかどうか、積雪で電車が遅れているが、彼女は待っているのか……。
そして、その初恋を引きずり続ける――という、メジャー映画で実写化するには静かな話である。アニメ版は渋谷のシネマライズなどでの単館系の公開だった。
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