人気アナウンサーから"何でもない私"へ…大橋マキさん(48)が花形職業をたった2年で退職。選んだのは"ケアをする"という生き方《前編》

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高齢者施設でアロマトリートメントをする大橋さん(写真:大橋さん提供)

――ケアする側ながら、エネルギーをもらっている感覚も?

あります。高齢者の方や病を患った方に触れるケアをしていると、血流がめぐり、体温が上がっていく。すると、こちらも温かくなる。触れるとエネルギーって循環していくんですね。

誰かに触れることは、自分のエネルギーを分け与えることではなく、相手と交換することだし、エネルギーが行き来することで、エネルギーがさらに増していく。これも理屈ではなく、体感してきたことです。

身体感覚を大切にする

――ケアは“奪われるもの”“疲れるもの”というイメージもありました。

もちろん、どれだけていねいにケアしても体温が上がらない、変わらない体に触れることもあって、そんなときは無力感を覚えることもありますけど。でも、ケアすること自体で疲れることはないです。

もし奪われる感覚が出てくるなら、それは自分が整っていないとき。誰かに触れる前に、あらかじめ自分の心身を整えておくことは必要だなと思います。

――具体的には?

自分の軸の部分、心身と健康を保つこと。セラピストの用語でも「センタリング」や「グランディング」などという言葉があります。方法はシンプルです。日常的にはしっかり食べて眠って、動いて笑って、緊張を解き放って呼吸をする。身体感覚を大切にしています。

私の場合は剣道をします。声を出せば呼吸が整うし、動いてめぐらせると整います。現場では施術の前後は手をていねいに洗ったり、水をしっかり飲んだり。

そんな小さな習慣で、気持ちの切り替えもできる。他者に与えるから減るのではなく、やりとりを通じてお互いが満ちていく。エネルギーが循環しているから続けていけるし、充実感を得られるんだと思います。

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