いよいよ最終日を迎える大阪万博。完全予約制の高いハードルが出足を鈍らせるも会期中に改善、パビリオン側も独自の工夫を重ねた結果
会期中休むことなく改善され続けた万博
このように開始当初はそれなりに問題も多かった万博だが、それらが万博の現場で運営する人たちによって絶えず改善され続けたのが今回の万博の大きな特徴の1つだろう。
チケットの販売方法から夜間入場の時間、持ち込み規制品、パビリオン予約システムの運用方法、さらに細かいところでは入退場時の誘導動線やコインロッカー利用のルールに至るまで細かな改善やルール変更が常に繰り返されていた。
例えば西ゲートが空いている問題に対しても、6月16日から電車が到着する東ゲート側から西ゲート側まで徒歩で移動するルート(約1.6km。所要約30分)が開放された。
すると、この本来は関係者しか通れなかった歩道を大屋根リングを眺めながら30分かけて徒歩移動し西ゲート入場する人が続出。それを受けて7月1日からは「東西シャトルバス」と呼ばれる東ゲートと西ゲートを結ぶシャトルバスの運用も開始している。

終盤で大きな問題となった日時を指定しないでも来場できる入場チケットは、スポンサー企業が社員に無料や割引価格で提供したりといった形で使われたほか、一般向けにも発売されていた。しかし、その提供を続けるといずれ来られない人が増えるという万博終盤で発生した事態に気がついたのか、8月18日からはルールが改定され日時指定が必須となった。
同じタイミングで、期間中何度でも来場できる通期パスや夏休みの間何度でも来場できる夏パスの提供も終了した。
8月22日時点での公式発表によれば通期パスは40万4393枚、夏パスは27万7566枚販売されたということだが、来場できる人数の上限が決まった万博で、これらのパスを発行し過ぎたことが「万博に来たくても来られない人」を大勢生み出し、混雑の常態化を招いたのではないかという指摘もある。
実際にゴールデンウィーク後に万博の評判が広まると通期パスを購入する関西近郊在住者が続出。毎週のように万博会場に通い大屋根リングの景色や花火を楽しむ人も増えた。負担も大きい開催地域の人々に恩恵を与えるのはいいことではあるが、それによって限られた入場枠が埋まり、万博を見に来たくても来られない人が発生するのは本当によいことなのだろうか。
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