いよいよ最終日を迎える大阪万博。完全予約制の高いハードルが出足を鈍らせるも会期中に改善、パビリオン側も独自の工夫を重ねた結果

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全員がWebブラウザで個人情報を登録して万博IDを獲得し、そのうえで来場時間を予約する必要があった。この時点でITの扱いが苦手な人などに来場のハードルが高いと言われていた。実際、開幕直前のメディアでの報道の多くは複雑な来場システムを説明する内容が目立ち、行くことへのハードルを高めていた印象がある。

大阪・関西万博
万博会場を訪れる前に、これだけ多くのステップがある。万博開催前には、この来場の大変さばかりが強調され、万博に行こうと思っている人たちの出ばなをくじいていた。ITが苦手な人々や、大阪をたまたま訪れていて思いつきで会場を訪れた海外からの来場者などの中には、いきなり会場に来て当日券を買う人も少なくなかった。来場者数をコントロールしようとする気持ちはわかるが、その気持ちが先行し過ぎて利用者側の視点が少し欠けていたように思える(筆者撮影)

交通輸送量の制約が大きかったのは海上開催が理由

主催者側が、来場人数をここまで厳密に制御しようとしていた背景には、今回が世界初の海上開催、つまり島の上で開催される万博だという背景がある。四方を海に囲まれた夢洲での開催のため交通輸送量の制約が大きい。このことは8月13日、停電による運転見合わせで多くの人が万博会場で夜を明かすことになった一件も証明している。

来場者が会場に乗り入れるための交通手段は原則、大阪メトロ中央線とバス、タクシーだけに限られている。

自家用車や船も来場手段として提示されているが、これらは最終的にはシャトルバスに乗り換えて西ゲートに着くことになる(実際には徒歩のルートなどもある)。

2022年に大阪府が提出した「万博 来場者輸送基本方針」では、万博によって府民の一般生活に支障が出ないように地下鉄中央線や御堂筋線の混雑率を150%以下に維持する目標なども掲げられていた。

2024年12月に日本国際博覧会来場者輸送対策協議会が提出した「大阪・関西万博 来場者輸送具体方針(アクションプラン)」の最終版では総来場者目標は2820万人で、これは開催期間で割ると1日平均15.3万人の計算になる。協議会では、できるだけバスや自家用車を利用することを期待していたようで「日来場者数が、18.6万人に達すると、万博P&R駐車場の自家用車が受け入れ限界に達し、22.7万人に達すると、団体バスも受け入れ限界に達する」、「20万人を超えたあたりから、輸送における鉄道の割合が加速度的に増加するため、それに備えた対策が必要」というシミュレーション結果を載せている。

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