損な役回り? 私が「管理職」を目指した2つの理由 岡田 武史 ×工藤 勇一が語る新しい時代のリーダー像

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岡田:監督時代は、選手全員のノートを作って「この選手をこうしたい」「今日はこういう声をかけた」「こういう練習を指示した」など、一人ひとりのことをじっくりと考えていたのに……。社員に対しても、それと同じくらい考える必要があることに気付かされました。

この調査に答えた人たちの声で一番大きかったのは、「自分には向いていない」だったそうですね。その理由として、今いる会社の上司や先輩たちの働く姿があまり良い状態に見えない。給料がすごく上がるわけでもないのに、上と下に挟まれて、仕事の量も責任も増える。だったら現場の一スタッフとして働いていた方がいい、と。

こういう言い方をすると今の人たちには嫌がられるかもしれないけど、昔も、管理職は上と下との板挟みで大変でした。でも、そこを乗り越えて上に行けば給料が増える、大きな仕事ができるといったわかりやすい魅力があったから、多くの人が頑張れていた。

当時も「管理職にずっといればいい」と思っている人は、そんなにいなかったと思うのです。そのあたり、今の若い人はいろいろと満たされていて欲望が少ないのかもしれない。

「カッコいいリーダーが見当たらない」から

工藤:学校という職場は、管理職になっても給料がそれほど大きく上がるわけではありません。そういう意味でも、管理職になろうという気持ちがある教員も少ないのかもしれない。でも、お金の面とは別に、やっぱり最近の傾向として若い人たちの近くに、「カッコいいリーダーが見当たらない」のだろうと思います。

THE CAPTAINSHIP

例えば、岡田さんの会社には、東大を出て大手銀行に入社して、ニューヨーク支社に赴任という華々しいキャリアから、給料が4分の1になるのもいとわず転職してきた社員の方がいるそうですが、その原動力はきっと、岡田さんというリーダーの存在でしょう。

自分で言うのも何ですが、今、僕の周りにもリーダーを目指す20代、30代の教職員が多くいます。だから、「リーダーになりたくない」と考える人が増えているとしたら、それは身近に理想像として描けるリーダーが減ってきているからかもしれませんね。

岡田:工藤先生は、いつ頃「校長になろう」と思ったのですか?

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