小麦もトウモロコシも「コメ」の代わりにならない…日本が水田面積を維持すべき納得理由

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
(写真:ブルームバーグ)
突然のように降ってわいた「令和のコメ騒動」。これまで、私たちは「安い」ということも「おいしい」ということさえも意識することなく、当たり前のようにコメを食べてきました。その無意識の大前提が、いま崩壊しつつあります。
いったい、何が起こっているのでしょうか。足もとのコメ価格の上昇は収まるか、どこまで下がるか…というレベルの問題ではなく、今回の価格高騰は、日本のコメ農業の大きな地殻変動を警告しているのです。
三菱総研・食農分野フェローの稲垣公雄氏と、三菱総合研究所「食と農のミライ」研究チームによる緊急出版『日本人は日本のコメを食べ続けられるか』より一部を特別に掲載します。

「コメ」という食糧の特殊性と特別性

世界にはコメ、小麦、トウモロコシという3大穀物がある(正確には穀物ではないが、大豆も含めて4大穀物というとらえ方も多い)。農業の国際比較の中では、欧米の小麦・トウモロコシ生産と比べて、日本のコメ生産は、その農地面積の制約から生産性が劣っているような議論になりがちである。

しかし、単に土地面積あたり・労働時間あたりの生産性だけで、どちらが優れているかということを判断するのは早計である。

農業の原則は「適地適作」である。作物としてなにが優れている、どの国が優れているではなく、その土地や気候に合ったものを作るのがいちばんよい、という考え方がある。その意味で、夏の降雨量が圧倒的に多いアジア・モンスーン気候という特性下の日本において、平均的にもっとも生産に適した穀物がコメであることは、疑いようがない。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事