相続で一番揉めるのはどういった資産? 相続・贈与を考え始めるのは"定年前"が鉄則な理由
自宅の土地・建物の評価額が高い場合は、基礎控除額を超える可能性もあります。まずはご自身の財産が基礎控除額を超えそうか、大まかに把握しておくことが大切です。金融機関のWebサイトなどで簡単なシミュレーションができます。もし基礎控除額を超えそうであれば、早めに税理士などの専門家に相談しましょう。
相続で最もトラブルになりやすいのが、不動産です。実家を兄弟で相続した場合、「住み続けたい」「売却して現金で分けたい」「賃貸に出したい」など、それぞれ希望が異なるケースは少なくありません。不動産は物理的に分割するのが難しく、それぞれの思い入れも絡み合って、話がこじれてしまうことが多いのです。
分けにくい資産がどれくらいあるのかを把握し、どうするのかを生前に考えておくことが、無用な争いを避ける第一歩となります。
争いを避ける鍵は「家族会議」
相続トラブルを防ぐには、元気なうちに家族で話し合いの場を持つことです。誰にどの財産を遺したいのか想いを伝え、家族の考えや希望も聞きましょう。特に不動産をどうするのか、誰が引き継ぐか、売却するかなど、具体的な方針を決めておくことが大切です。
「まだ先のこと」と先延ばしにすると、いざという時に家族が困ります。認知症が発症すれば、話し合いすらできなくなります。定年という節目を機に家族会議を開き、「誰に」「何を」「どう分けるか」を明確にしておくことが、円満相続への近道です。
家族会議で話し合った内容を、法的な効力のある形で残すのが「遺言書」です。主に自分で手書きする「自筆証書遺言」と、公証役場で作成する「公正証書遺言」があります。自筆証書遺言は、費用がかからず手軽ですが、形式不備で無効になるリスクがあります。公正証書遺言は、費用や手間はかかりますが、公証人が関与するため確実に遺志を反映できます。
遺言書には法定相続人の「遺留分」という権利に注意が必要です。遺留分を下回る相続分しか得られなかった相続人は、遺留分侵害額請求を行うことができます。とはいえ、ご自身の意思を明確に示しておくことは非常に重要です。まずは自筆証書遺言からでも、想いを書き留めてみてはいかがでしょうか。
「子供の住宅資金に」「相続財産を減らしたい」といった理由から、「生前贈与」に関心を持つ方もいるでしょう。生前贈与とは、生きている間に財産を無償で渡すこと。うまく活用すれば、将来の相続税負担を軽減できたり、必要なタイミングで家族を援助できたりします。
しかし、近年ルールが改正された点もあり、注意が必要です。
贈与の基本ルール:「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」
生前贈与には、主に2つの制度があります。
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