苦しむ愛猫に「ごめんね。安楽死を選べなかったの」 ペットの最期をどう迎えるか
その時、自分は何のために安楽死を選ぼうと思っているか考えた。ジジのためなのか、ジジの苦しむ姿を見て自分がつらくなりたくないだけなのか。何度も自分に問いかけた。
最終的に、安楽死は自分の気持ちを優先したエゴだと感じ自然死を選んだ、という。
「私はどれだけ悲しんでも苦しんでもいいから、ジジにとって最善の看取りとは何かを考えた時、ジジは自宅でご飯を食べ、水も飲み、自力でトイレにも行っていました。
おうちに帰って家族で過ごしたいと思っているはず。私の気持ちはどうでもいい、ジジが望みそうなことをしようと決めました」
夫(37)にも、獣医師から安楽死を提案された日に話をした。夫は、「君が迎えた猫だから納得がいくように」と言ってくれた。
苦しむ姿を前に葛藤
自然死を選んだが、葛藤は続いた。ジジは、呼吸が苦しくなると胸がベコベコと波打った。その姿を見て、「ごめんね。安楽死を選べなかったの」と泣きながらジジに謝った。
やがて「長生きしてほしい」という願いから、「好きにしていいよ。ジジの意思を尊重するね」と死を受け入れられるようになった。
お別れは、5月16日夜だった。ジジは自宅の酸素室で横たわり、古川さんは夫と2人で見守った。やがて昏睡状態になったジジの手を、古川さんは握って見送った。
息を引き取ると、子どものようにわんわん泣いた。今も、スーパーでジジが好きだったおやつを見たりしたときなど、胸が締め付けられるという。
古川さんは安楽死も自然死も、「正解はない」と話す。
「愛猫を痛みから解放してあげたいと思って安楽死を選ぶのも、緩和ケアを選んで一緒に過ごす時間を大切にするのも、飼い主が悩み抜いて下した決断ならば、どちらも間違いではありません」
古川さんはジジの遺骨を納めた遺骨リングをつくった。いつでもジジを身近に感じられるように、いつも指にはめている。
(AERA編集部・野村昌二)
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