他の施設にはない独自の強みとは? 「東京ジャイアンツタウン」開発の経緯と現状
球場と水族館を組み合わせる発想は珍しい。野球は集客時期が限定的だが、水族館は1年を通した集客が期待できる。ファミリー層が訪れる水族館と併設することで、相乗効果に期待しているという。
「球場も水族館も、『そこに行きたいから行く』という目的型施設です。ぶらりと立ち寄るところではないので、通常は組み合わせるという発想もあまりないと思いますが、掛け合わせることで、1+1=2ではなく、プラスアルファのにぎわいを創れればと考えています。最近は推しの選手を応援する熱心な女性ファンも増えていますし、そういう意味ではファームの試合でも集客はそれほど心配していないのですが、課題は試合がない約300日のにぎわいをいかに創り出すか。シーズンオフは11月から2月までありますし、そこは知恵のしぼりどころだなと。
1年を通して集客が見込める水族館を球場と組み合わせることで、相乗効果を生み出すことが目標です」(梅崎氏)
グループのリソース最大化がポイント
読売グループの3社によって開発が進められている東京ジャイアンツタウンは、グループのリソースを最大限に発揮することに重きを置いている。
「日本テレビも含めたメディアグループとしての発信力、長年にわたって野球振興をリードしてきたジャイアンツのブランド力、遊園地やゴルフ場などエンターテインメント施設を運営してきたよみうりランドのノウハウを掛け合わせていこうということです。
各社で役割を分担するのではなく、皆で知恵をしぼり合い、グループとしてのリソースをいかに活用できるかがポイントだと思っています。2024年7月、よみうりランドの社内カンパニーとして、東京ジャイアンツタウン・マネジメントカンパニー(以下マネジメントカンパニー)という組織を設立し、読売新聞東京本社や読売巨人軍のスタッフがそこに参加しています。
マネジメントカンパニーは、プロジェクトの効率化を図る中心的な組織として機能しています。同じ読売グループとはいえ、それぞれが向き合っている客層、企業風土なども違います。同じ方向を向いてプロジェクトを進めていくためには、全体を統括する組織はやはり必要だったなと思っています。
特に、東京・多摩丘陵の一角に新しいまちを作るという大きなチャレンジになりますし、3社の担当者が目の前のことに向き合っているだけでは難しいと思っていました。プロジェクトには3社から延べ100人以上が参加して議論しながら知恵を出し合い、マネジメントカンパニーは実践の場として機能しています」(梅崎氏)
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